【日本政府観光局インバウンド最新リポート 35】ベトナム人の訪日旅行 JNTOハノイ事務所 松田名奈子 次長


ショッピングに高い関心

 ベトナム人旅行者の訪日におけるショッピング熱をご存知だろうか。観光庁・消費動向調査(2017年速報値)における1人当たりの買い物代消費額で、ベトナム人は約7・2万円と中国に次いで主要市場で2番目に多い額となっている。また、JNTOハノイ事務所が独自で実施した調査においても、訪日経験者・希望者の55%が訪日目的に「ショッピング」を挙げており、「桜鑑賞」(55%)と並ぶほど、日本への上位関心コンテンツであることが分かる(図表参照)。

 旅行会社へのヒアリングや消費者へのインタビューなどを踏まえると、ベトナム人の買い物志向は、「本物」「安心」「健康」がキーワードであると言える。

 ベトナムには多くの海外製品が輸入されているが、一方で偽物も多数流通しており、衣料品、装飾品、電化製品、薬や食品にまでわたる。このような背景もあり、ベトナム人はその商品が本物であるかを常日頃から吟味しており、同時に「日本で売っているものは絶対に本物。だから安心」との考えを持っているようだ。ベトナム国内でも買えるカップラーメンなどの食品を、ベトナムのものは偽物かもしれないからとわざわざ日本で爆買いするベトナム人も少なくない。

 また、安心という側面では、特にベビー用品市場がベトナム国内で活況の中、子どもの口に入るもの、触れるものなどは信頼できる製品を買いたいと、日本で粉ミルク、ベビー用食品、おむつなどをよく購入している。

 ベトナム人は健康への関心も高く、日本製のサプリメント、健康食品なども人気である。これらの日本製品、日本産品、日本販売品への圧倒的な信頼は、訪日旅行者だけでなく、ベトナム国内で浸透しつつあり、日本に渡航する知人がいると、お土産リストを渡すにとどまらず、ネット通販で購入した商品の受け取りを依頼するなど、「日本旅行=あの商品を買ってきて」というケースも多いようだ。

 JNTOの調査では、ベトナム人が最新のトレンドを収集する情報ソースはFacebookが主流で、SNSでの口コミを通じて訪日旅行や訪日ショッピングに関する情報を収集していると考えられる。また、「本物」「安心」というキーワードは物だけでなく、情報にも通じるところで、家族、知人、友人からの口コミも信頼できる情報であると重要視されている。

 現在、ベトナム人旅行者はツアーで訪日する層が大多数であるが、ツアー中の短い自由時間を有効活用してショッピングにいそしんでいる。一度にたくさんの店舗を回ることができるショッピングモールへの立ち寄りや、夜の自由時間に宿泊施設から徒歩で行けるコンビニやドラッグストア、ディスカウントショップなどの情報は大変喜ばれるので、ぜひベトナム人旅行者にご案内いただきたい。

 
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