
中小の旅館が市場開拓を図る方策として、ぜひ視野に置いていただきたい「パブリシティ」―そのための種まきとなるニュースリリースのポイントについてお伝えしている。
(4)ニュースリリースのポイント(前回続き)
(ⅷ)必殺の画像
画像を添えるべきことは言うまでもないが、とかく忘れがちでもある。文字だけで無理に伝えようと思わないことだ。そして、できるだけインパクトのある「必殺の画像」を選ぼう。「お、なんだ?」と目が引き寄せられるようなものがよい。画像こそが「アイキャッチ」なのだ。
近頃、詳しい情報を知らせたい時など、電子メールやチャットでは参照先をリンクで示すのが一般的だが、ニュースリリースで肝心な情報を「詳しくはこちら」と示すだけというのはあまりおすすめできない。何度も言うが、向こうは忙しいのだ。いちいちこちらが示すリンク先を見てもらえるとは期待しない方がよい。
(ⅸ)記事起こし、取材の便宜
上質なメディアほど、記事にするかどうかの判断の前にいろいろと下調べをする。社会背景や裏付け情報などを集める作業だ。また記事起こしする場合も、関連する情報が豊富にある方が書きやすいだろう。こうしたことに便宜を供するのも、取り上げられやすくするポイントである。
例えば…関連する画像を1カ所にまとめておき、そこへのアクセス方法を伝える、ローカルメディアで取り上げられた記事を添える、関連する業界ニュースや統計情報などを添える、など。
やや高等技術になるが、あえて他社の似たような商品や取り組み事例を紹介することで、業界や地域にそういう「動き」があると認識させ、それをテーマとした特集企画を促すという手もある。
(ⅹ)依頼文を添える
ニュースリリースを紙媒体で送る場合は、情報本体とは別に「依頼文」を1枚添えよう。これがないと、そもそも「何のために何を送りつけてきたのか」が相手に伝わらず、何かの売り込みと勘違いされてしまうかもしれない。
ただしこれはあくまでも形式なので、ここにくだくだしい説明は要らない。2~3行で十分だろう。むしろ大事なのは、そこに本件問い合わせ窓口の氏名、メールアドレス、電話番号などを記載しておくことだ。
以上、なるべく取り上げてもらいやすいニュースリリースとするための「コツ」である。最後に、蛇足ながら第三者的観点から少し申し添えておきたい。
(5)ニュース性と公共性
「ニュース」と「ニュース性」は違う。自社にとって「ニュース」であっても、世間にとってはどうでもいいことである場合も多い。「ニュース性」とは、情報が世間の関心を呼ぶような資質を備えているかどうか、ということを意味する。発信しようとする情報に「ニュース性(=世間にとっての目新しさ)」があるかどうか、吟味してみよう。
もう一つ。「パブリシティ」とは「パブリック(公共の)」の派生語である。つまり公共的な意味があることが重要なポイントだ。発信のことを考える前に、「公共に向けた発信に値する内容」が十分にあるかよく確かめ、不足と思われる場合はその積み上げを考えたい。
(リョケン代表取締役社長)