【年頭所感】日本観光振興協会 会長 山西健一郎


国内観光の構造改革進める

 謹んで新年のごあいさつを申し上げます。

 昨年は、東京オリンピック・パラリンピックの開催を機に観光業界にとって飛躍の1年にと願っていましたが、新年早々に発生した新型コロナウイルス感染症により、オリ・パラも延期され、さまざまな場面で移動が制限されるなど、観光業界に激震の走った1年でした。また、「観光」という産業が地域の医療をはじめ、さまざまな方々のご努力により支えられていることを改めて感じた1年でした。その一方で遠隔地を結びながら、さまざまなイベントがオンラインで開催されるなど、少し前には想像できなかったことが現実になり、時代の変化を強く感じるところです。こうした中、2020年は協会として新しい時代に向けた変化に挑戦した1年でもあったと感じています。

 当協会として、まずは、新型コロナウイルスによる影響を突破するため、観光業界全体としての意向や必要な施策について、関係団体とも連動しながら政府に対して政策提言を実施いたしました。その成果として結実したものの一つがGo Toトラベルキャンペーンです。その一方、旅に出ていただくため、あるいは旅する人を受け入れていただくために、旅行による感染拡大を防ぐ必要があり、「旅の安全と安心の確保」が最優先課題であると考えました。こうしたことから、協会として「新しい旅のエチケット」や「新しい旅のおもいやり」など、動画配信による広報啓発や、旅行の安全・安心確保のための取り組みについて情報の共有に努めました。また、近年の大規模災害や感染症の流行で危機管理の重要性が増す中、さまざまなリスクを想定し、観光関連事業者の対応力強化に向けた検討と支援を行うため、日本商工会議所と連携し、「観光危機管理・事業継続力強化研究会」を昨年6月に設立し、セミナーなどを開催いたしました。10月にはツーリズムEXPOジャパンを沖縄で開催いたしました。コロナ禍の影響により一部プログラムを変更せざるを得なかったものの、徹底した感染防止対策により感染者を出すこともなく、安心安全なMICEイベントの開催モデルを示すことができました。また、地元のご協力により沖縄の泡盛を活用した衛生用品を来場者、出展者に配布するなど、微力ながら新型コロナウイルス感染症の影響を受けた沖縄のお役に立てたのではないかと考えております。

 新しく迎える2021年は、国内観光の構造改革を進めるための1年にしたいと考えています。その一つとして、ワーケーションへの取り組みがあげられます。当協会では、既に2020年度から働き方改革やコロナ禍によるリモートワークなどが進展する中で、時代の変化による新しい需要を喚起するための施策として、また、連休やお盆、年末年始のピーク期間に集中しがちな日本の観光の弱点の補完を目的として、日本経済団体連合会、ワーケーション自治体協議会と覚書を結び、ワーケーションへの取り組みを開始しています。その他、観光地の危機管理や、地域を巻き込んだ旅行の安全、衛生体制の確立など、新たな観光のスタイルを提唱し、ムーブメントをつくることで、新型コロナウイルス感染症からのリカバリーを図るとともに、日本の観光産業をよりたくましく、強靱(きょうじん)なものにしてまいりたいと考えております。

 皆さまのご理解とご協力をもちまして、2021年4月1日で当協会は設立10周年を迎えます。状況がめまぐるしく変化する昨今ですが、引き続き協会に科せられた(1)ネットワーク(2)価値創造(3)持続的な成長―の三つの役割を果たし、理念である「観光の光で輝く持続可能な社会の実現」をめざし努力してまいりますので、変わらぬご支援を賜りますようお願い申し上げます。最後になりましたが、皆さまの新しい1年のご発展とご多幸をご祈念申し上げます。

 
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