【年頭所感】日本旅行社長 小谷野悦光


小谷野社長

旅行業を未来へ紡ぐ

 謹んで新年のごあいさつを申し上げます。

 2021年、コロナ禍による未曽有の事態は、時間の経過とともに改善に向かうだろうと期待感とともに始まりました。しかし、現実は予想をはるかに超え、年が明けて2度目の緊急事態宣言が発出、その後も10カ月にわたり平時を取り戻すことはありませんでした。私たち観光産業は、再起をかけた対策や計画を講じていく一方、社会環境の変化によって急な対処を迫られるという、新常態への一進一退の挑戦が今現在も続いています。

 当社においても例外なく厳しい経営環境に見舞われ、まさに日本旅行グループ全社総力を結集し「生き残り」をかけた挑戦が続きました。そして、その中では未来につながる“光”も見えてきました。これまで116年の長きにわたり「旅行業」で培ってきたサービススキルを応用活用することで、これまでとは異なる新しい分野においても力を発揮できる事例が増え始めてきました。

 その一例が、「自衛隊東京大規模接種センター」をはじめ全国各地でサポートさせていただいたワクチン接種事業です。これまで培ってきた、複数のヒト、モノ、コトをつなぎ止め一つの価値にまとめ上げるプロジェクトリーダー的な役割、そこに旅行会社ならではのホスピタリティも付加できたことを大きく評価いただきました。

 そして何よりも“ワクチン接種の加速を通じ、旅行ができる当たり前の日常を取り戻す”その思いでプロジェクトを遂行できたことは、コロナ禍の落ち込みの中にあった当社グループ全社員にとって、仕事への意欲を高め奮起を促す素晴らしい機会となりました。

 社会的に大きな貢献を果たすことができたこの経験値は、当社にとって未来につながる大きな財産になりました。新型コロナ禍において大きなダメージを受けたのは事実です。しかしながら、コロナ禍だからこそ「取り組めたこと」「気づけたこと」その収穫も大きなものでした。

 このほど当社は、新常態におけるビジネスモデルの変革や持続的成長を示した中期経営計画を策定しました。2022年は旅行代理店業からソリューション企業としての変革を加速していきます。事業領域を大きく「ソリューション事業」「ツーリズム事業」に2分化した事業ポートフォリオ経営へとスイッチします。特に前者では、従来の旅行業の事業領域からもっと広義にSDGsやDXをはじめとする顧客や地域の抱える社会課題へ挑み、当社はその課題解決の中心的役割を担いトータルコーディネートをしてまいります。JR西日本をはじめとしたアライアンスパートナーと共創することで新しいシナジーを発揮し、より良い未来の実現に向け、顧客や地域が求める価値を実現する企業へと「覚醒」していきます。

 昨年3月の社長就任以来、未曽有の危機は依然として続くものと覚悟をしているところですが、当社およびグループ会社社員をはじめ、観光産業で働く皆さまが、一歩一歩前へと進み、明るい希望や夢を取り戻せるよう奮闘してまいりたいと考えております。そのためにも、事業領域に社会視点を持ち、旅行会社として、サステナブルな未来の社会に貢献する企業になるという強い思いをもって臨む所存です。

 本年も引き続き皆さま方のご支援、ご鞭撻(べんたつ)をよろしくお願い申し上げます。

小谷野社長

 

 
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