【地方再生・創生論 154】外国人が暮らしやすい地域に 日体大理事長 松浪健四郎

  • 2020年2月14日

 戦後生まれの私たちは、ジープに乗る米軍兵の姿と町内で接するのは日常だった。私たちは、何も恐れずにジープを追う。兵隊たちは、子どもたちにガムやチョコレート、キャラメルを配って融和政策をとる。で、戦後生まれの日本人は米国に対して敵意を持たず、むしろ友好的だったと述懐する。私も米国に憧れ、留学したいと小学生時代から考えるようになっていた。

 留学には先進国へ行くのだから大金が必要で、富裕層の子弟でなければ難しい時代だった。それでも卓越した学力、才能や技術力があれば、米国は外国人の入国、留学を認める国だと知った。で、私はレスリング修業に打ち込み、この強さを武器にして留学することに成功した。大学で全額奨学金を受けたが、米国の大学は世界中から留学生を受け入れていたのには感心した。私のルームメイトは、ドミニカからの留学生で陸上選手だった。

 移民の国である米国は、1960年代であるにもかかわらず、すでに国際化していたと認識した。四面海に囲まれた敗戦国日本、外から入りにくい国だけに異なる民族が入らずじまい。外国人と共同生活をするなんて考えもしなかった。が、時代は変わった。日本社会は人手不足に陥り、外国から人材を受け入れなければならなくなり、法整備も行われた。

 日本には市区町村の自治体は1741あるけれど、外国人の住民が不在である自治体は、たったの5自治体にとどまる。住民基本台帳人口に基づくと、日本国中に外国人が居住していて地域社会をも支えてくれているのだ。すでに270万人の外国人が住み、2016年だけでも43万人が増加した。難民を受け入れない日本ではあるが、独、米、英に次ぐ4位の流入数である。新たな外国人の受け入れ制度が始まり、人口減少を補う切り札として外国人の定住を増やす自治体が一般化する時代だ。国際化の幕開けというよりも、日本の総人口1億2770万人の穴埋めの役割を帯びている。

 現在、外国人の居住人口は、全体の2%。50人に1人の割合で、すでに外国人が私たちの身辺で暮らす。先進国は、どこも人口減少に苦しみ、経済力を維持するために移民政策を認める。欧州の国々では、10人に1人が外国人という具合で、自国民だけでは国家が成り立たない。日本も昨年の出生者数は90万人を割り、欧州と同様の道を歩むしかないのだ。

 1年間で日本人は37万人が減少する。そこで外国人を年に17万人受け入れてきたが、新法によってその倍以上増加する。人手不足が深刻化する都市、地方にあっては、外国人の受け入れが増える。すでに外国人依存度を高める業種や地域が明確になっている。

 広島の漁業の目玉であるカキの生産は、6人に1人が外国人。茨城県の農林業の従事者の21人に1人が外国人。岐阜県の製造業、特に織物業界の18人に1人が外国人。東京のホテルや飲食業の従事者27人に1人が外国人だ。介護の分野では、今後5年間で6万人の外国人が必要で、外食業は5.5万人、建設界は4万人、ビルの清掃も4万人、農業も4万人という具合、あらゆる分野で外国人労働者が求められているが、まだまだ増えようか。

 こんな時代になるなんて予想だにしなかったが、少子化の波は国際化を促進させる。今後は、日本人と外国人が対等に支え合う社会を構築し、住民ぐるみで外国人が暮らしやすい地域にせねばならない。祭りへの参加、消防団への加入、差別することなく文化の違いを超えて共存社会を作る工夫が自治体に必要だ。

 外国人の定住を進めるには、日本人と同水準の労働環境を整え、多文化共生政策と日本語指導教育を徹底させてほしい。政府の外国人受け入れ政策よりも、その自治体の特徴ある政策を期待したい。例えば、地元民との文化交流会や料理教室等、多様な行事が居住を進める。

 もう私たちには、外国人に対する偏見や差別心を持つことは許されないのだ。地域を支えてくれている現実を認識せねばならぬ。

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