【地方再生・創生論 130】】魅力満載の観光地、郡上市 日体大理事長 松浪健四郎

  • 2019年8月9日

 岐阜県の郡上市に行ってきた。「郡上おどり」で有名だが、手あかのついていない観光地という印象をもった。ちょっとした秘境でもあろうか。なのに、7月中旬から9月上旬までの約2カ月間、30数夜にわたり繰り広げられる、日本一の長さを誇る盆踊り。徳島県の阿波踊りもかなわない。旧盆の8月13日から4日間、数万人の踊り子が徹夜で踊りを楽しむ。

 郡上市は、当然ながら郡上おどりを観光の目玉に据え、いつ行ってもおどりに接することができる。郡上おどりの実演は、郡上八幡博覧館で毎日鑑賞できる上に習うこともできる。文字通り、日本一のおどりの町である。いくつかのおどりの種類があるにつけ、それほど難しい動きではなかった。おどりが国の重要無形民俗文化財に指定されている。

 博覧館では草木染による素朴な色合いと光沢が魅力の郡上紬(つむぎ)の織りを見るのも楽しいし、水の美しい土地が生み出す深みのある藍染め作品を観(み)るのも楽しい。他地域の藍染めとは紺色の深みが異なり独自性を発揮していた。郡上八幡旧庁舎記念館は、観光案内所でありお土産売り場、軽食のレストランとなっていたが、天井に大きな藍染め作品の鯉(こい)のぼりが吊るされていた。独特の紺の深みの魅力に負けてしまい、大きな鯉のぼりを購入した。

 歴史のある市だけに文化の香りがプンプンする特異な街である。私は、「円空仏」ファンであるので、円空が生まれたといわれる美並へ行く。円空研究センターを訪れる。円空に関する知識を身に付けて、「美並ふるさと館」に飛ぶ。すごい、立派、158体の円空仏が私たちを歓迎してくれる。仏像には、18相とか32相という仏像の約束事があるのだが、円空はこだわらずに気の向くままに仏像を彫ったという。円空仏には、あたたかさがあり、信仰を深める起爆剤というか入門の手引きの役割をなす側面を感じさせられる。

 300年以上も昔の彫刻、荒々しい彫りだがスピード感がある。円空の仏像は、あちこちにあるが、生誕地で触れると円空の心が伝わってくる。郡上市のちょっと郊外にある美並だが、私は訪問して十分に満足した。

 郡上八幡城という山城に足を運ぶ。日本最古の木造再建城が売りであるが、天守閣からの眺めは、郡上八幡は城下町であると教えてくれる。春は、桜と新緑で美しいと想像できる。秋は、もみじの樹々の量からして紅葉は圧巻だろう。山城だけに朝霧に浮かぶ城も美しいという。ともかく眺望は天下一品、奥美濃の山々の峰が波を打っていた。

 郡上市は霊峰白山の登り口にあり、8世紀ごろからの白山信仰の広がりとともに白山文化のメッカともなっている。白山文化博物館では、白山信仰の歴史を伝える文化財等を展示している。

 もちろん温泉もあり、旅の疲れを癒やすことができる。白山神社(白鳥町)を拠点とする美濃禅定道は、上り千人下り千人といわれるほど参拝客でにぎわったというから、温泉は旅人にとって好都合だったに違いない。

 郡上市は観光の街として一度は訪れてみる価値がある。魅力的な地方ではあるのだが、私に言わせればアクセスに恵まれていない。ただ、高速道路が発達しているので、車を用いた旅行なら便利だ。東海北陸自動車道の郡上八幡ICで下りるとすぐに街が広がる。主要都市からは郡上行きのバスが出ている。

 ところで、八幡城の最後の城主は青山氏で、東京の青山通りの地名は、この青山氏が住んでいたので命名されたらしい。そこで、郡上市は、港区青山で初夏の風物詩「郡上おどりin青山」を平成6年から開催している。同時に東京郡上人会の交流会を行い、郡上市への興味を募らせる企画も立てている。

 地方の観光地は、いかにして客を招くかが大きなテーマであるが、郡上市の政策をまねるのも一考であろう。観光地として、魅力満載の郡上市、ちょっとしたところにまで工夫が行き届いていた。いがわ小径という用水路には、無数の鯉が泳いでいて歓迎してくれたのには驚いた。

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