【地方再生・創生論 114】地域産品のブランド力向上 日体大理事長 松浪健四郎

  • 2019年4月11日

 「早慶近」と書かれた新聞広告を見た。大阪の近畿大学が、早稲田大と慶応大と並ぶほどの大学ですとの宣伝。早慶のブランド力を用いて自らの大学を売る戦略。関西にある近大が、関西の大学を利用せずに、関東の有名大学名を利用して、全国区の大学であるかのイメージを上手に表現している。

 大学が、このような広告を出してでもイメージづくりを考える時代である。つまり、ブランド力を高めることが、大学の生き残り上大切で、少子化時代を乗り切る手段なのだ。近大には、「近大マグロ」というブランドがあるにもかかわらず、さらに大学名を高めようとする。

 近年、リクルート社は大学のブランド力の調査を行い公表している。有名大学には、ブランド力があり、世に広く知られ、名門として君臨する。新興大学に不足しているのは、ブランド力であろう。どのような策をとれば、ブランド力を高めることができるのか、その研究こそが受験生減少時代には不可欠なのである。

 ブランド力を高める方法は、単線型、直線型では難しく多彩な手法が求められる。日体大は、シンボルマスコットをライオンと定め、キャンパスのあちこちに百獣の王ライオン像を設置している。文化勲章受章者の北村西望作の傑作、三越百貨店から寄贈されたブロンズのライオン像が玄関に座る。まず、強いというイメージから売り込む。

 自治体にあっては、ゆるキャラを作り、身近な存在であることをアピールしたり、興味を持ってもらえるような売り込みが一般的。が、現在ではゆるキャラを持たない自治体はなく、イメージづくりのためにはそれほどのインパクトがない。ふるさと納税のためにも自治体を宣伝せねばならない現代、やはりブランド力の向上を考えねばならない。

 歴史と伝統、卒業生の活躍、オリンピック等の競技大会での金メダル獲得、日体大のブランド力は一朝一夕にできたものではないにつけ、向上を目指して常に努力して維持しようとする姿勢を失ってはならないと考える。私たち経営陣は、イメージを守り、ブランド力を高める意識を保持する。でなければ、入学者定員を充足させることができない。他大学と戦っているという認識が求められるのだ。

 自治体とて同様であるはずだ。すでにブランドとなっている地域の商品があればともかく、自治体そのものをブランド化させる必要もある。マーケティングを密にし、流通経路を見直し、生産者任せにせずに自治体が動いて協力すべきであろう。商品のブランド化が先か、自治体のブランド化も並行して取り組むべきである。ブランド品には、特徴がある。

 かつて宮崎県知事が、県の特産品をテレビや雑誌で宣伝し、ブランド化に成功した。まれなケースであったにせよ、ヒントにはなる。魚介類のブランド品も各地にあるが、これらは昔からのもので最近ブランドになった商品は多くはない。フグは山口県、しかし愛知県が一番の水揚げ量なのだが、ブランド力がないため山口へ送る。明太子の生産トップは北海道、しかし福岡へ送って売る。定着したブランド力は、なかなか覆すことはできず、その壁は高い。ブランド力は価格を押し上げるからだ。

 多くの自治体は、シンボルマスコットやシンボルマークをバッジにして、職員が胸につける。記念品としても使用しているらしく、私どもも訪問時にいただく。が、胸につけて宣伝してやろうという優れものがない。ゆるキャラにしても、自治体は横並び策ばかりで特徴がない。これではブランド力を高めるのは困難である。個性的であってほしいものだ。

 いずれにしても、地域の産品がブランドとして全国に伝われば、さらに売れる。地域団体商標制度が2006年からスタートした。これを利用しない手はなかろう。知名度の高い地域で特徴ある商品ならば、ブランド化できるに違いない。が、大間まぐろ等は、伝統的なもので地域名にブランド力がなくとも、商材が貴重であるがゆえにブランド力があるのだ。

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