【地方再生・創生論 111】外国人への日本語指導 日体大理事長 松浪健四郎

  • 2019年3月14日

 大坂なおみ選手が、全米オープンに続いて全豪オープンも制した。テニスというメジャー競技で、これらのタイトルを手中にしたのは立派の一語につきる。彼女の父親はハイチ、母親は日本、生活圏はアメリカ。この文化を己のものにして、世界のスターとなった。

 スポーツ界や芸能界では、「ハーフ」と呼称されてきた日本人と外国人の間に産まれた人たちが活躍している。日本社会には排外主義はなく、差別や偏見は過去のものとなりつつある。私は欧米や中東で生活をした経験があるが、迫害や差別を目の当たりにしたばかりか、日本人の私自身も差別を受けた。が、日本社会は急速に変化していて、外国人の増加は都市部のみならず、地方にまで大きな影響を与えている。

 日本国憲法第14条は、差別を認めない。今年4月からの外国人労働者の受け入れ拡大に向け、私どもにも外国人との共存生活が日常のものとなる覚悟が求められている。国際結婚が飛躍的に増加し、「ハーフ」の子どもたちの誕生も一般的になり、日本社会もさらに多様化するに違いない。日本の法律は二重国籍を認めないゆえ、国籍の選択の決断は22歳までにしなければならない。平和で治安がよく、経済的にも風土にも恵まれている日本を選択する「ハーフ」が、ほとんどであろう。

 私の長男はアフガニスタンで産まれた。私は在カブールの日本大使館に出生を届け、アフガニスタン国籍を即座に放棄した。ちなみに、大坂なおみ選手は米国と日本の二重国籍である。彼女が、どちらを選択するのか興味深いが、あのたどたどしい日本語、流暢な英語を耳にすれば、私たちは複雑な心境に陥る。彼女の去就は、「日本人とは何なのか」という問題を投げかけてくる。血脈なのか、文化なのか、言語なのか、まさに多様化した時代に私たちは生きている。

 だが、私たちには「日本語」という誇る言語がある。私は日本人とは、やはり日本語を話す者でなければならないと考える。各役所は、外国人のために外国語を話せる人間を登用しようとするが、私は反対だ。そんなサービスをするゆえ、外国人は日本語を学ぼうとしないのだ。米国で生活すれば、「この国で暮らすなら英語を身に付けろ!」と教えられる。

 プロ野球の外国人選手たちは、ほとんど日本語を話せない。通訳がいるに加え、日本人選手の多くも英語を理解するため、彼らは日本語を勉強しないのだ。大相撲の世界では、外国人力士は全員、見事に日本語を話す。徹底して勉強する上に、日本語を身に付けなければ強くならないと知っているのだろう。

 地方自治体にも、これから信じがたいほど外国人が増える。労働者もいるだろうが、観光客も増加する。親切に彼らの言語で対応するサービスも提供する必要もあろうが、長期滞在者の外国人に対しては、日本語指導のサービスが必須である。日本語をマスターすれば、日本滞在が有意義なものとなるばかりか、自己表現を増大させることができる。

 日本語指導は、日本人ならば、誰でもできると思っている人が多い。だからJICAの日本語指導者の海外派遣にも応募者が多い。しかし、その方法、技術指導の教育を専門的に学んだ者、その資格を保持する者の指導でないと、きちんとした日本語を学ぶことができない。

 地方自治体は、外国人との共存を図る第一歩として、いかに外国人に日本語を学ばせるかを考えねばならないし、その指導者の確保に努めねばならない。小中学校でも、外国人の子弟に日本語をきちんと教える必要がある。すでに多くの企業は外国人労働者を受け入れ、その子弟たちの教育に頭を痛める自治体は多いが、まず、日本語学習に取り組みつつ教科外活動の中に引き入れる工夫も求められる。

 悪質ブローカーの手によって日本に来た外国人の質が悪いと問題になっている。4月から単純労働分野への受け入れも広がる。いかに日本語を身に付けさせるか、自治体が本気になって取り組む仕事である。

関連する記事

前回に引き続き、M&Aを実施するに当たり失敗しないためのポイントを紹介しよう。事業拡大、発展のチャンスとなる成功事例もあるが、中には本業の業績悪化につながった失敗事例も出…

続きを読む

改めて申し上げるが、「磨け!独自価値」の言葉は、弊社が発行する「旅館の経営指針」において、昨年掲げたテーマフレーズである。 ところで、その前年の「経営指針」で掲げたテ…

続きを読む

認知症高齢者の増加が今、国際的に問題となっている。わが国では、2012年に推計462万人であった認知症高齢者数が、2025年には700万人に達し、さらにMCI(軽度認知障…

続きを読む

新聞ご購読のお申込み メルマガ申し込み

注目のコンテンツ

第32回「にっぽんの温泉100選」発表!(2018年12月15日号発表)

  • 1位草津、2位別府八湯、3位下呂

2018年度「5つ星の宿」発表!(2018年12月15日号発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」は?

第32回「にっぽんの温泉100選・選んだ理由別ベスト100」(2019年1月1日号発表)

  • 「雰囲気」「泉質」「見所・体験の充実」「郷土の食文化」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

18年度「部門別・旅館ホテル100選」(2019年1月12日号発表)

  • 「料理」「サービス」「風呂」「施設」「雰囲気」のベスト100軒

観光経済新聞の人材紹介

  • 旅館・ホテルの人材不足のお悩み無料相談はこちら
Visit Us On FacebookVisit Us On TwitterVisit Us On InstagramVisit Us On Youtube