【修学旅行レポート】東邦大学付属東邦中学校 (新潟県上越市・十日町市 22年6月1~3日)


おいしい米がなぜできるのかを考えながら田植え体験

 受け入れ先と密に連携 雪国の暮らし知る体験

 千葉県習志野市に校舎を構える東邦大学付属東邦中学校(松本琢司校長)は、1925(大正14)年に額田豊・晉兄弟により帝国女子医学専門学校として創設。東邦大学が医学を中心とする理系総合大学であることから、同校もまた理系に強く、医学部への進学率が高い進学校だ。建学理念は「『自然・生命・人間』の尊重」で、自然を畏敬し、生命を尊び、人間としての心の向上を目指す。

 受験に勝つための知識詰め込み型の教育ではなく、「いろいろな人と会っていろいろな経験を積んで、周りをしっかり見られる頭の柔らかい人間を育成する」と北村章教諭。こうした教育方針から修学旅行を含めた校外学習には力を入れており、各年次で校外学習を行う。

 1年次の校外学習は、富士山のふもとで自然に親しむ活動。2年次は、自然に加え、そこに住む人の生活にも触れる農家民泊。3年次は長崎で歴史学習を中心とする修学旅行を実施する。

 今年度の2年次校外学習は、新潟県上越市・十日町市で展開されている体験プログラム「越後田舎体験」を6月1~3日の2泊3日で行った。コロナ禍でこれまで中止が続き、3年ぶりの実施。2年生の8クラス、男女約300人が参加した。

 校外学習の目的は二つ。1点目は「平素と異なる生活環境について見聞を広め、自然や文化などに親しむとともに、背景にある生きるための知恵や工夫を知り、地域の諸問題や地域の誇りに気づく」。2点目は「事前調査・研究を通して主体的、協働的に知識を得て、それを相互に交流することで、校外学習での体験の質の向上を目指す」。

 上越市、十日町市を行き先とするのは今回が初めて。コロナの影響により全国各地で民泊の受け入れ農家が減少している中で、2年生全員の受け入れが可能という理由で決めた。ところが両市でも実施半年前に受け入れ農家が不足する事態に陥り、当日に農家民泊ができなかったが、結果的には同校として満足のいく校外学習を実現できた。

 1日目は、現地入りして昼食をとった後、田植え体験。北村教諭は「だいたいの子はもう小学校時代に田植え体験をしているが、ここはお米がおいしい地域なので、おいしいお米ができる理由は何か探しながら田植え体験を行った」と話す。

 田植えの後は「雪国の家と暮らし」や「雪国の森と暮らし」といった「雪国」をテーマにした探究プログラムをクラス別の8コースに分かれて実施。例えば、「雪国の家と暮らし」コースでは、松之山浦田集落で雪国ならではの家や周囲の工夫などを観察して回ったほか、地域の人々との茶話会などを行った。「雪がたいへん多い所なので、生徒たちとしては、雪をどうやって屋根から落とすかとか家の土台がとても高いとか、雪国のあり方がとても新鮮に映ったようだ」と北村教諭。1日目は民宿に泊まった。

 2日目は、1日目の探究プログラムの続き。宿泊先はホテル。

 3日目の午前は、湯沢高原でのジップラインやマス釣り、信濃川でのラフティングなどアクティビティ体験。午後に帰着。

 事後学習ではクラス内で班ごとに探究学習に関するまとめを行い、7月の期末テストが終わった後に学年全体での発表会を行った。「どの班も『高齢化が進んで本当に人がいない』と言っていた。しかし、なぜ受け入れてくれた地域の人は優しくて楽しそうなんだ、というところが印象に深かったようだ。最終的には、幸せというのはお金など経済的なものではなく、心の問題として捉えるべきではないかという結論が出てきた」と北村教諭。

 2年次の校外学習は、農家民泊を軸とする。それがコロナの影響で実施できなかったが、今回の越後田舎体験では受け入れコーディネーターと密に打ち合わせを行ったことによりこれまでにない成果があったという。

 北村教諭は「実施2カ月前から越後田舎体験の方とオンラインで相互に連絡しあった。こういう体験プログラムを用意している、それはこういう学習の見方をしてほしいなどと積極的に投げかけてくれ、それに対して私たちがどうアレンジしていくかというようなやりとりをした。私たち教員も校外学習をどう進めるかいつも苦慮していたのだが、今回はやりやすかった。当日の体験プログラムだけではなく、事前学習から事後学習まで一貫してお互いに協力しあったので、内容の濃い探究学習ができた」と語る。

 来年度の2年次校外学習も上越市、十日町市に行き、越後田舎体験を実施する計画だ。

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