【体験型観光が日本を変える241】21年末の出来事にみる日本 藤澤安良


 2021年は、新型コロナウイルスの感染者数が年末には少し落ち着いた。しかし、12月から世界的にはオミクロン株が増え続けており、12月20日、米国ではオミクロン株に置き換わっている割合が73.2%に達したと公表した。日本でも当面の間、空港検疫等の水際対策強化を継続するとしている。

 そんな中、年末年始の帰省や旅行での予約状況が19年には及ばないが、前年に比べてJR各社で1.8倍や航空各社1.4倍と大幅に増加している。お正月と2回のお盆に帰省できなかった人々には2年ぶりとなる。

 このまま感染者が増えず、無事に帰省や旅行が実現することを望みたい。

 さらには、このまま、感染者の抑え込みがうまくいけば、観光業界が待ち望んでいるGo To事業再開が実現する。しかし、国の補助金や交付金を巡っては虚偽申告による不正も少なからず発生した。

 システムはもちろん、そのような行為に及ばなければならない社会的な背景を探らなければ再発することになる。

 社会的背景といえば、19年7月、京都アニメーション第1スタジオ放火殺人事件は、社員36人が死亡、33人が重軽傷と過去に例を見ない大惨事となった。

 12月17日、どうやらその事件を模倣したとも言われている大阪ビル放火事件が起こり、25人の尊い命が犠牲になった。そんな大惨事になるような犯行を計画した容疑者の動機につながる社会的な境遇や、心理的な状況も解明され、このような事件の再発防止のために何が必要なのか考え、教育や社会の仕組みなど対応策が必要である。

 また12月21日、政府の中央防災会議の作業部会が北海道から東北地方にある日本海溝・千島海溝沿いでの、マグニチュード9クラスの地震が起きた場合の被害想定が発表された。冬の深夜の場合は東日本大震災の10倍を超える約20万人の死者が出るとし、防災対策を求めた。求めに応じて政策を推進してほしいものである。

 12月18日、宮城県と青森県とを結ぶ「三陸沿岸道路」が全ての区間で開通し、東日本大震災のあとに進められた総延長実に570キロに及ぶ復興道路と復興支援道路の整備事業は全て終了した。

 その次の日、実際に久慈市から八戸までレンタカーで走ってみたが、片側1車線区間が多いものの交通量からして渋滞はなく快適であった。海岸から少し離れており、標高も高く、津波の影響を受けないルートである。

 東北道から沿岸地域までも2時間程度かかっていたが格段に早まり、仙台から八戸まで縦にもつながり、通行料も無料で、三陸復興国立公園地域の観光地や、久慈市や田野畑村などの体験型観光を推進する地域にとっては、この道路の完成は大きな交流人口拡大の起爆剤になることは間違いない。

 しかし、それには自然体験、農林水産業体験や、田舎の現状を深く理解するSDGsプログラム整備、命を守る防災教育などの地域を訪れる目的提案が不可欠であり、それに向けて行動すべき時である。沿線地域の未来がかかっている。

 
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