【体験型観光が日本を変える235】国民の期待にこたえる政権に 藤澤安良


 2年にわたってコロナ禍に苦しみ、長年にわたり実質賃金は上がらず、格差は広がり、政治家や官僚の疑惑や不祥事は後を絶たない中で衆院選が行われた。自民党の苦戦が予想されたが、結果は単独過半数で大健闘した。

 コロナ感染者が減少し、行動規制が緩和や解除に動きだし、社会経済活動が活発になる兆しが見え、将来への期待を持ち始めた。また、私も直接お会いし話をしたが、真面目でクリーンな印象の岸田文雄氏が首相になったことも大きいし、とてもいいタイミングであった。

 さらには、その首相の公約の中で、果実を分け合うという富の分配と、コロナ対策の大型財政出動に大きな期待を持つことになった。今までの実績を訴える政治家も多いが、それは、いずれもあなたの手柄ではないというものばかりである。今回は期待票だと認識し、国民の期待に応える政治をまさに期待したい。

 国家の財政赤字が1222兆円にも達する国が、決してやってはいけないのが成果の出ないバラまきである。

 今までも、多額の補助金・交付金が拠出され続けてきたが、過疎化、少子高齢化、限界廃村集落、空き家など集落や田舎の存続危機、森林間伐不足・人工林の放置、獣害、里山竹林保全など自然環境保全、農林水産業の低い生産性、1次産業高年齢化、後継者・労働力不足、耕作放棄地の拡大、食料生産現場の課題解決と食料自給率、地方の中心市街、商店街の衰退、独居老人、買い物難民、住民サービス低下など、挙げれば枚挙にいとまがないが、いずれの課題の好転も解決の道筋すら見えていない。

 財務省からお金が出ていっても、省庁のくっ付きコンサルティングや御用達業者だけが潤い、末端に届く前に大きく目減りする仕組みを変えなければ、地方や田舎はいつまでも良くならないどころか滅びることになる。それは、同時に日本が滅びることにつながっている。

 地方行政も自らの地域の課題に向かって、成果を得るために真剣に向き合わなければならない。また、それぞれの自治体や地域により事情が違う中で、現場を知らない政府の企画に合わせられる不合理が起こり続けている。地方が必要とすることを助けるのが政府の役割であるが、本末転倒が続いている。

 資本主義なら巨額の財政投入をどれだけ税収に跳ね返すのかの視点が足りない。国家の金を食ってしまう金にしてはならない。

 各地で「投票に行こうキャンペーン」が行われている。投票日当日、ハロウィンで若者が集まる渋谷区が1億円もの対策費を計上し、コロナ禍での飲酒や密集騒ぎを防ごうと警備をする中、仮装しながらの乱闘や、禁止されている路上飲みが横行するなど混乱が起こった。

 前回の国政選挙で約33%にとどまった20代の投票率は果たしてどうだったのか。外国から来た行事を、仮装して騒ぐだけでいいのか、開放感や自己満足や自己承認欲求が相まっての行動なのであろう。

 日本が豊かになるには、財政のみならず「心の豊かさ」も求めなければならない。

 
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