【体験型観光が日本を変える 76】生きる力を充電 藤澤安良

  • 2018年6月13日

 アメリカンフットボールの危険プレイの問題に関する報道が続いている。国民の多くがすっきりしない。危機管理学部が設置されている日本大学側の対応は、謝罪も、記者会見も後手、あいまい、逃げ、責任逃れなど、起こってしまったことへの危機管理能力がなっていない。責任や累が及ばないようにしたいなどという目的ならば、再発防止などは絵空事となる。

 1人悪者になって正直に真実を話してくれたと思われるのが関係者で一番若い当該選手だった。せめてもの救いである。危機管理は当然ながら、起こってしまった事象に対して、正面から正直にきちんと向き合う姿勢があってこその危機管理能力である。

 政治の現場でも国会の議論も、言った、言わない、記憶にない、改ざんではない、書き直したなど、資料が出てくるたびに発言が変わる。政治、行政に対しての失望感を増幅する。先進国の間で日本の民主主義ランキングが低い原因が選挙の投票率が示すように政治参加が低いゆえんでもある。

 一流企業でも、不正融資の銀行、検査データー改ざんの鉄鋼メーカー、不正会計の大手家電と不祥事が相次ぐ。そんな中で働き方改革法案が可決していくが、働く場所を提供する企業の意識やモラルの改革が必要となる。人は道具や機械ではない。ガバナンスは組織図があればいいのではなく、人の思いと行動の結果である。

 本来、人間には親子や年齢に敬意はあっても、組織でのレッテルに上下はあっても、人権には上下がないはすである。人間関係の原点はコミュニケーションであり、職場や部活で恐れ多くて話ができないような上下関係は、人間関係ではなく、パワーハラスメントとなる。上下の差を埋めるには、上から下に降りてくることである。一旦権力ある上に立つと、なかなかできないのが人間の性であろうが、それがガバナンスの明暗を分け、仕事の効率や業績にもつながる。

 高度経済成長の時代にはほとんどの組織に職場旅行があった。残念ながら、その時にも上から下へ降りてくる人が少なく、パワハラがあったことから職場旅行が“絶滅危惧種”となっている。若手の経営者が、やり方や内容次第では職場旅行が必要ではないかと言い出している。

 職場旅行での体験プログラムによる共通体験は人間関係をつくる。例えば、上下関係なく組み合わせたメンバーで1艇6~7人で、急流を下るラフティングはチームビルディングにもなる。森林環境税の議論が進む日本の森林の実態を理解し、あらゆる組織で求められている安全対策、危機管理、法令順守の基本が学べる森林間伐体験は、労働の厳しさをも知ることになる。世界無形文化遺産になった和食について、田舎のおばちゃんから教えてもらい、自ら作れるようになる食育プログラムもとても大切である。大人であっても「人間の生きる力の充電」は必要である。豊かな社会は心豊かな人間づくりでもある。体験教育旅行の普及が必要である。

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