今年の夏休みは、新型コロナウイルスの感染者拡大で帰省を中心に国内移動を自粛する動きが多く見られているが、それでもゴールデンウイーク期間中に比べれば一定の人の動きがあり、国内線の飛行機や新幹線などで多くの空席が見られるが、羽田空港や東京駅などで旅行者を見ることができる。しかしながら、海外旅行については各国の入国制限に加えて、日本に帰国した際に14日間、自宅や宿泊施設などでの隔離が必要であることにより、ゴールデンウイーク期間中同様に現在でもほぼ不可能になっている。
海外旅行においては、夏のハワイに期待する声も6月中にはあった。というのも、当初のハワイ州の発表では、到着前72時間以内のPCR検査の陰性証明を提示することによって、8月からハワイ入国時の14日間の自己隔離を免除するという動きがあり、日本帰国時に14日間の隔離があっても長期滞在であればハワイへ行くことが可能で、それに期待する声もあった。しかし、7月13日にアメリカ国内での感染者数が減らないこともあり、観光客の受け入れ再開を9月以降に延期することを発表。8月中のハワイへの旅行は幻のものとなった。
現在、日本とハワイを結ぶ路線は全便運休中であるが、8月1日以降、JAL(日本航空)が羽田―ホノルルの臨時便の運航を開始し、8月中は4往復のみ運航しているほか、9月も臨時便が運航される計画となっているが、残念ながら定期便運航再開には至っておらず、しばらく先になりそうだ。
現状、トルコ、フランス、オランダ、イギリスなどヨーロッパの一部の国では、観光目的での入国が可能となっており、入国可能な国であれば観光目的で入国しても14日間の隔離の必要もない。実際に8月前半にヨーロッパへ出かけた人に話を聞くことができたが、日本のパスポートで問題なく新型コロナ前同様にスムーズに入国できたそうだ。
ただ現状では、日本帰国時に14日間の隔離義務が必要となることに加え、日本からのヨーロッパ便が限定されてしまっていることもあり、実際に観光目的で出かける日本人はわずかしかいない。
今まではヨーロッパ内であれば自由に移動可能であったが、現状ではEU内でも国によって出入国におけるルールが異なっていることに加えて、8月15日にはイギリスがフランスとオランダからの入国者に対して14日間の自主隔離を義務付けることを発表するなど、日々状況が変わるなどしており、まだ自由に海外旅行へ出かけられるまでには時間がかかりそうだ。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)