プログラムの理念とアクティブラーニングの視点
南信州では、地域に暮らす人々がインストラクターとして体験プログラムに関わり、生徒たちを生産の現場、生活の中へ受け入れ、これまで培ってきた技術や経験をそのまま体験させることが本物の体験であるとの理念を持って取り組んできました。
その理念は事業開始より20年以上が経過した今でも、事業運営の拠り所として色あせることなく輝きを放ち、協力いただいている地域の人々もそのことに共鳴して継続的に関わっています。この理念は、次期学習指導要領で重要視されているアクティブラーニングの視点を持って体験に臨んだ際にさらに輝きを増すものとなります。
農家民泊
1998年に全国に先駆けて受け入れを開始した農家民泊を例に取れば、異なる地域に暮らす人の生活を知り、考え方に触れ、想像していた農業や田舎の暮らしと実際に体験して感じたこととの違いに気付くことが、「主体的な学び」や「対話的な学び」につながります。当地では単一作目の受け入れ農家はほとんどおらず、果樹、稲作、野菜の複合経営が大半で、少量多品目の農家の割合が高いのですが、これは中山間地の地形により、そうせざるを得なかった側面もあります。こうしたことを実際に人に接し、体験や交流を通じて知ることにより、対話的な学びから深い学びへとつながる道筋が見えてくるものと思います。
地理的優位性と数多くの体験プログラム
当地は中央道飯田ICを中心に半径1時間の範囲に収まる地域であり、首都圏や関西圏からはバスで3時間半~4時間程度の立地にあります。首都圏から訪れた場合、諏訪から約50分と、松本・安曇野、白馬と比べて同程度か格段に近く、関西圏から訪れた場合は長野県の玄関口に位置します。これらの地域からは全行程バスでの計画が可能で、他地域から新幹線併用の場合も名古屋駅から約1時間半の立地にあるため、活動時間の確保と旅行費用の低減化の両面で大きく優位性があり、体調管理面やリスクマネジメント面での優位性も加味されてきます。
体験プログラムは180種類を数え、中でも天竜川でのラフティングは国内最大級の1回に300人の実施が可能です。フォレストアドベンチャー、乗馬、渓流釣り、マウンテンバイクなどのアウトドアスポーツ体験、プロの職人に教わる陶芸や草木染めといった工芸体験、地域の食文化に触れるそば打ちや五平餅作りなど、数多くの体験プログラムがあります。また、「満蒙開拓平和記念館」では語り部講話と展示見学による平和学習も行えます。温泉旅館も数多くありますが、「大平宿」では旧民家で囲炉裏と竈を使った昔ながらの生活を体験でき、さまざまな形態での教育旅行の受け入れが可能です。
南信州での人との交流や体験活動は、将来を背負う若者たちが社会で活躍するためのしなやかな心を育みます。
南信州観光公社
http://www.mstb.jp/