マクロミルは14日、新型コロナウイルスが消費者心理に及ぼす影響についての調査結果を発表した。
■トピックス
【1】 注目の話題やニュースは「新型コロナ」に集中 3月4週目に「オリンピック延期決定」、4月1週目に「志村けんさん死亡」も 【2】 休校要請で高まった「不安」と「憂鬱」、志村けんさん死去では「悲しかった」が急上昇 【3】 景況感の低下、過去2度の消費増税時よりもさらに低下 【4】 1カ月先の消費予想は、2020年2月3週以降、連続して低下 |
■調査結果
【1】 注目の話題やニュースは「新型コロナ」に集中
3月4週目に「オリンピック延期決定」、4月1週目に「志村けんさん死亡」も
注目されている話題やニュースを時系列に把握するため、自由記述回答をワードクラウド※1を用いて視覚的に示しました(図1)。直近1カ月はどの週も、「新型コロナ」のキーワードが中心で、3月4週目に「オリンピック延期決定」、4月1週目に「志村けんさん死亡」も挙げられました。
図1 気になった話題やニュース
【2】 休校要請で高まった「不安」と「憂鬱」、志村けんさん死去では「悲しかった」が急上昇
生活者の「気分」の変化を、2019年12月から時系列で把握しました(図2)。年が明けた1月から「楽しかった」「わくわくした」「うれしかった」というポジティブな感情は下降トレンドで、「不安だった」「憂鬱だった」というネガティブな感情は新型コロナの報道と共に上昇トレンドとなっています。特に3月1週目に大幅な上昇を見せていますが、これは3月2日から始まった全国公立小中高校の一斉休校のタイミングと重なります※2。そして、新型コロナウイルスの感染により志村けんさんが亡くなられたという報道直後となる4月1週目の調査では、「悲しかった」という感情が急激に上昇するとともに、「不安」と「憂鬱」も再上昇しました。
図 2 週間センチメントの変化
【3】 景況感の低下、過去2度の消費増税時よりもさらに低下
景況感(景気に対する印象)については、「現在の身の回りの景気(以下、「現況」)」と、「2~3カ月先の景気の見通し(以下、「先行き」)」を用いて、景況感DI※3を算出しました。スコアが50よりも大きければ景気が良い、50を下回れば景気が悪い、という判断になります(図3)。
過去2度に渡る消費増税では「現況」、「先行き」ともに大きく低下しましたが、今回の新型コロナの感染拡大では、そのスコアを大きく下回りました。経済の不透明さによる消費者心理への影響の大きさが、この低下率から読み取ることができます。
図 3 これまでの景況感DIの変化
【4】 1カ月先の消費予想は2020年2月3週以降、連続して低下
今後1カ月の消費増減予想を示す「消費マインド」(図4)は、スコアが50よりも大きければ消費が増え、50よりも小さければ消費が減るという消費者心理に基づく指標で、今後の消費全体の動きを予測することができます。「消費マインド」は年単位での周期的な特性があり、年末にピークが来て、年始に一気下降するという傾向は毎年の共通点です。
「前年同週比(点線折れ線グラフ)」を見ると、2019年度は10月の消費増税直後に0.92まで下降しましたが、年末に向けて緩やかに回復しました。しかし、新型コロナの影響が日本国内で深刻化してきた2020年2月3週目以降は低下し続けています。
図 4 消費マインドの変化(2019年9月~)
当社は今後も、Macromill Weekly Indexにおいて、毎週水曜に定点観測調査を実施、翌週火曜に調査データを公開していくとともに、公開する調査データの種類も拡大していきます。さらに、このデータをベースにした定期的な分析レポートの発表も実施してまいります。
※1:出現頻度が高い単語を抽出し、その頻度に応じた大きさで図示する手法
※2:一斉休校開始は3月2日(月)、定点観測調査は毎週水曜に実施されており、その直後の調査が3月4日(水)
※3:今の景況感(現況)は「良い(100点)、やや良い(75点)、変わらない(50点)、やや悪い(25点)、悪い(0点)」、2~3か月先の景況感(先行)は「良くなる(100点)、やや良くなる(75点)、変わらない(50点)、やや悪くなる(25点)、悪くなる(0点)」とそれぞれ点数を与えた時の平均値