【オマツリジャパンの毎週祭日 1】漁師町でひな祭りルーツ探訪 奇祭ハンター・マック


海に紙吹雪がまかれ、神の国への道が開く

淡嶋神社のひな流し(和歌山市)

 私は「奇祭ハンター」として毎月、日本全国へと奇祭旅を行っている。今回の旅の日付は3月3日、ひな祭り。目的地は和歌山市加太にある淡嶋神社だ。人形供養で有名な淡嶋神社では3月3日、ひな祭りの原型となったと言われる「ひな流し」が行われる。全国から寄せられたひな人形たちを海に流して供養するのだ。

 最寄りの加太駅に到着すると、加太は紀淡海峡に面する漁師町だった。名産の真鯛(まだい)をはじめ、しらす丼やサザエのつぼ焼きなどの海産物が豊富で、加太淡嶋温泉だってある風情ある町並みだ。

 駅から淡嶋神社まで徒歩20分。境内にはその数2万体ともいわれる人形が所狭しと並べられていた。ひな人形だけではない。日本人形や招き猫、狸の信楽焼きだってある。中には髪が伸びる人形も安置されているという噂だが、本当だろうか。

 境内で待つこと約1時間。大量のひな人形を乗せた白木の船が3隻、神主を先頭にこっちへやってきた。白木の舟をかつぐのはすべて女性。ひな流しだから、当然か。

 大量のひな人形は境内を出て、やがて海岸をのぞむ桟橋へと運び込まれた。見学に来ていた幼稚園児たちのうち、女の子だけが桟橋へと降りることを許された。「女の子だけずるい~」。男の子たちから非難の声が飛ぶ。「ひな祭りだからね~」と先生。

 やがて神事が始まり、神主さんが色とりどりの紙吹雪を宙に撒(ま)いた。紙吹雪には、神の国の扉を開く意味があるらしい。偶然、風向きが良く、紙吹雪は私が立っている位置へと飛んできた。そこで撮れた偶然の一枚が、掲載した写真である。神事の後、ひな人形は無事、海へ、神の国へと旅立っていった。われわれ一同は厳かな気持ちでそれを見送った。(奇祭ハンター・マック)

 ※オマツリジャパンのライターが全国の魅力的な祭りを紹介します。

【オマツリジャパン】
日本初の祭りサポート専門会社。「祭りで日本を盛り上げる」を目標に掲げ、祭りのコンサルティング、プロモーション、日本最大級のWEBプラットフォーム運営など、地方創生に取り組む。https://omatsurijapan.com

 

 
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