【ちょん髷理事長モノ申す 地方再生・創生論 83】ダンスの効用を見直そう 日体大理事長 松浪健四郎

  • 2018年8月10日

 役職というのは、だいたい多忙な人に回ってくる。私も多忙な日々を送る1人ではあるが、またもや役職が増えた。辞退すべく数回、きちんとお断りしたのだが、森喜朗元総理から「引き受けてやってくれ!」の一言でゲームセット。いやはや大変である。

 「日本ボールルームダンス連盟」の評議員なる肩書が付くことになってしまったのだ。音楽とダンスは大の苦手、それゆえ逃げ回っていたのに、この公益法人の役員に就任してしまった。ダンスが全国的に人気があり、特に若い人よりも壮年期を迎えた男女によってブームが広がっている現実を知っていたが、よもや私がその役員になるとは夢想だにしなかった。

 中学校で武道を必須にする際、ダンスも同時に必須にした。コミュニケーションを上手にとる人間性を育むために、能動的な性格にするために、リズム感を養うために等々の理由で必須にしたことを覚えている。その法案づくりの中心的人物でも私はあったにつけ、自身はダンスは苦手なのである。

 代議士時代、選挙区では夜にはよくダンスホールに行った。踊るためではなく、あいさつのため、支持のお願いだった。ダンスフロアには、ミラーボールとスポットライトが輝き、政治家がその中でマイクを握るのは異容に映っただろうが、選挙のためなら何でもするのが政治家。

 しかし楽しそうに踊る人たちを見ていると健康的でうらやましくなる。ワルツやタンゴ、ルンバ、チャチャチャ等、音楽に合わせて自由自在にステップを踏む人たちは自己陶酔の態、ストレスはありませんと語っているようでもある。リズミカルに若々しく踊っているのだが、シニア層の男女が圧倒的に多い。

 ダンスホールを経営するというより、主宰する人たちは、定年後の趣味で仲間と始めたり、公的施設を借りて楽しんでいるようだ。趣味に加えて出会いの場を求めて人々が集まる。何よりもスポットライトを浴びる感激、若さを取り戻した気分を満喫できる。

 近年、少年漫画の人気もあって、小中学生のダンサーも増加中である。年末に日本女子体育大で開催される「ダンスサミット」(会長は私)でも、小中学生の部を設けているほどなのだ。で、老若男女が集う場とホールがなっている現状を理解しておかねばならない。

 リズム感を養いスポーツを楽しむように体を鍛える健康志向、現代にマッチした身体文化でもあろう。これら社交ダンスに偏見を持つ人たちも散見できるにつけ、一度ホールに足を運び、あの美しさと迫力に圧倒されればすぐにファンになるだろう。ダンス連盟の役員会に出席して話を聞いていると、公式ではないにしてもダンス人口は日本が世界で一番多いと知って驚いたことがあった。

 なのに、このダンスは日陰者のごとく扱われ、自治体が振興に力を入れたり、公的施設を作ったりしない。ダンスをスポーツと認識せず、美しく着飾る特殊な人たちの趣味と決めつけている印象を受ける。古来ダンスは、神と対話する手段として受け継がれ、巫女(みこ)だけの文化ではなく大衆の身体文化となって世界中で楽しまれるようになった。

 地域社会では、地域の人々が密着し、コミュニティーを形成して、シニア世代に孤独感を与えずにいる。ダンスを通じて交流することによって安心感を手中にし、地域の活性化につながる。シニア世代に居場所を提供するにとどまらず、地域を居心地の良い誇れる地と感じる人たちを増やすことにもなろう。

 都市部には多くのプロたちが教室を運営し、弟子たちを養成しているが、月謝は安くなく高額である。その影響でか、若い人たちよりもシニア世代が多いのかもしれないが、もし、公的機関や自治体が協力すれば、さらに老若を問わず各種の競技ダンサーを増やすことができようか。会も盛んで、時に私もタキシード姿で出席する。この欧米的な雰囲気も心地良い。

 「ダンス」の持つ効用を見直し、偏見を捨て、普及と振興に各自治体も乗り出すべきである。

(日体大理事長、松浪健四郎)

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