【ちょん髷理事長モノ申す 地方再生・創生論 101】規制強化が必用な太陽光発電パネル 日体大理事長 松浪健四郎

  • 2018年12月20日

 山梨県北杜市の市長が日体大を訪問された。この女性市長は、私と日体大の同級生。市と大学で「スポーツの振興に関する協定」を締結することになり、私どもは北杜市に出向いた。平山郁夫シルクロード美術館もあり、南アルプスや富士山を一望できる雄大な景色のパノラマが美しい。住みたい田舎ランキング、堂々1位に輝いた市だけのことはある。で、この北杜市の特徴は、美しいだけではなく日照時間も日本一だという。

 隣の長野県にはサボテン栽培農家が多数あるのは、やはり日照時間が長いからなのだが、北杜市の平均気温が低いため、どんな農作物が適しているのか考える。私は長野県に入るとサボテン栽培農家を訪れる。たいていはインターネットで販売しているが、日照時間の賜物であろう。

 北杜市のあちこちの施設に案内された。驚いたのは、どこもかしこも太陽光発電のためのパネルが光るではないか。最初は土地の上手な活用法だと感心していたが、これだけあちこちにパネルが設置されていると、田舎という感じもせず、食傷気味になる。日照時間日本一という勲章の影響であろう。

 「FIT」(固定価格買取制度)が施行されて以来、パネルがどんどん増えていったという。「荒れた農地の活用には最適ですね」と、市職員に向けると、「増えすぎて住民との間にさまざまな問題が浮上してきました」と述べられる。素晴らしい景色が北杜市の自慢なのに、太陽光発電設備たるパネルの市へと転じてしまった苦情に頭を痛めている様子だ。“過ぎたるは及ばざるがごとし”。

 パネルの設置は個人であれ法人であれ建築基準法に触れず、開発に問題がなければ自治体への届け出だけで済む。しかも周辺住民への説明も不要で、地主との契約だけで事業のスタートを切ることができた。ただ、関係者でない者がパネルに近付けないようにフェンス等の設置が義務付けられていて、自由に立ち入りできないようにしなければならないルール。で、北杜市でも安直な形式だけの柵が散見できたが、パネル設置は簡便だったがゆえ、住民とのあつれきを生んでしまったのであろう。

 FITの買い取り価格は、当初1キロワット時40円だったが、18円まで下がった。しかし、パネルのコストが安くなり十分に採算がとれるらしい。ゆえに地主は安易に事業者に土地を提供することとなる。ただ、FITは20年間、送配電事業者が発電された電気を買い取る義務があるにつけ、20年後の状況を誰も予想することはできない。20年後、パネルがそのまま放置されるのではないかと心配する人もいる。産業廃棄物となるこれらパネルの処分を、今から問題視する人もいるらしい。

 そこで自治体は太陽光発電設備のパネル設置規制を強化する必要がある。設置を安易に認めると、美観を損なうばかりか、住民と事業者の対立問題が深刻なものとなろうか。自治体はFIT法について研究し、規制を強化しないと耕作されていない農地は、特に寒冷地にあっては軒並みパネル設置の餌食になろうか。パネルのコストが下落する一方である今、手を打たないことにはパネルは繁殖する。FITの買い取り価格が、たとえ12円にまで下落しても採算がとれるというから、このパネルのブームはまだまだ続くに違いない。

 投資家たちが北杜市に群がったのだろうか。平成14年には3万2千キロワットの発電設備しかなかったのに、平成17年にはその4倍にまで増えたらしい。クリーンでいいイメージを与えてくれる太陽光発電だが、住民の住むすぐ近くに設置されると、自然の中に溶け込むことなく違和感を覚えてしまう。しかもこの太陽光発電の販売、転売が自由に行われているのだ。持ち主の判然としないパネル、FITによって収益が保証されているビジネス。

 北杜市のパネルの8割は市外の人たちのものだという。どうしても無責任な施設となり、フェンス等の修理も行われず、住民の怒りを買うことになろうか。

(日体大理事長、松浪健四郎)

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