「磐梯山の恵みの水」テーマにツアー 

  • 2021年12月8日

猪苗代第2発電所内部

磐梯町でしかできない体験 発信

 福島県の旅行業者、アールエイチ企画(会津若松市)は11月11日、ファムツアー「宝の山磐梯山からの恵み~水が育む産業と自然環境が共生する社会」を実施した。観光庁の「地域の観光資源の磨き上げを通じた域内連携促進に向けた実証事業」の採択を受けて同ツアーを造成。福島県内の有名観光地に劣らぬ「磐梯町でしか体験できない魅力」を発信し、風評被害に苦しむ地元食材の安全性や同エリアの歴史に触れる体験価値をアピールする。

 福島県内の「きれいな水(観光)」と「はたらく水(教育)」の“磐梯山の恵みの水”を求めるのが今回のツアーのコンセプト。

 旅行会社や観光関連担当者を乗せたバスは会津若松ワシントンホテルを出発し、落葉が地面を埋め尽くす野山を眺めながら「道の駅ばんだい」に到着。オリエンテーションでは磐梯町の佐藤淳一町長がツアーの見どころを、開催趣旨をアールエイチ企画の鈴木裕部長がそれぞれ参加者に説明した。

 「きれいな水」がテーマの観光分野からツアーはスタート。1989年に新工場を磐梯町内で稼働させた榮川酒造(えいせんしゅぞう)では、磐梯西山麓湧水群の伏流水で仕込まれ、口当たりが柔らかでまろやかな酒ができるまでの工程を見学。同敷地内にある「ゆっ蔵」では同蔵元の酒の試飲が可能で、日本酒などの購入もできる。

榮川酒造の試飲、販売所

 続いて冷蔵・冷凍物流も手掛ける製氷冷蔵の角氷メーカー、クールテックサガワ(同県本宮市)の磐梯山製氷工場を訪問。同社が製造する”透明で美しく、硬く溶けにくい氷”は、ガラス並みの透明度を誇り、向こう側が透けて見えるほど。全自動で衛生面への配慮も万全のもと製造された氷は、大手スーパーやコンビニに流通している。

 国指定史跡「慧日寺跡(えにちじあと)」では、かつて僧兵3千人を抱え、東北一の隆盛を誇った名残に触れ、その後、同史跡の近くにある築150年超の「古民家カフェ・庄九郎亭」へと移動。

庄九郎亭薬膳弁当

 昼食で提供された「薬膳料理弁当」は、おたね人参入り和風煮込みハンバーグ、さつまいもごま和え、車麩(くるまぶ)精進煮、鶏塩こうじマリネ・ごぼうふくめ煮に天ぷら添えと、ボリーム満点の仕上がりで、自家栽培のそばも打ちたて、ゆでたてで提供するなど、オーガニックの食材にこだわった内容となっている。

猪苗代第2発電所内部

 午後は「はたらく水」がテーマの教育分野の各所を訪問。最初に訪れた東京電力リニューアブルパワー猪苗代第2発電所(同会津若松市)は、1918年に設立されて以来、現在まで100年超にわたり稼働している。

 東京駅の設計でも知られる建築家、辰野金吾氏の設計監修のもと、レンガは東京駅と同じものを使用している。猪苗代湖の豊富な水は当時から水力発電の貴重な資源として利活用され、同施設の設備の一部は歴史的にも貴重な「日本の産業遺産」となっている。

 続いて、会津地方10市町村のごみ・し尿処理などを共同で行う会津若松地方広域市町村圏整備組合沼平第2最終処分場(磐梯町)を視察。埋め立て容量15万立方メートル、埋め立て面積1万4800平方メートルの広さを有する同施設は、雨水に備え塩化ビニールシートや不織布、遮水シート、自己遮水シート型マットなど6層からなる。ろ過した水は透明感があり、臭いが無くなるレベルまで浄化され、同地区を流れる河川に放流しても環境に全く影響しないという。

◇   ◇

 参加者に今回のツアーについて感想を聞いた。

 JTB観光開発プロデューサーの鶴舎亮氏は「地域の事業者の協力を得て、SDGsやカーボンオフセット(持続可能)を標榜(ひょうぼう)する教育旅行や企業視察向けツアーとして、ほかの地域にない本格的な内容を備えたツアーに発展する可能性は大きい」と、ツアー商品としての可能性を述べた。

 地域ブランディング研究所の山下かおりさんは「学べる教育旅行として磨き上げが可能。一方通行型の見学ツアーではなく、双方向型の教育プログラムとして環境問題について学べるゲームを盛り込むことで魅力がさらにアップする」と魅力について言及した。

 アールエイチ企画は、今回訪れた水力発電所など、先人が磐梯町に残した施設から当時の「技術・知恵・文化」を学べる商品造成に注力している。同社は「今後も、自然環境に配慮しながらカーボンオフ社会を目指すためのヒントとなる企画商品を提供していきたい」と意気込む。

 

 
 
 
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