「地域の祭り盛り上げます」 若者、外国人の誘客、参加を促進


オマツリジャパンの加藤社長(右)とお祭りコーディネーターの大山勝廣氏

 祭りで日本を盛り上げる―。祭りの企画立案や情報発信など地域のさまざまな祭りをサポートする専門会社にオマツリジャパン(東京都新宿区、加藤優子社長)がある。20、30歳代の若手を中心に2015年に設立された新しい会社だが、内閣官房に設置された観光戦略実行推進タスクフォースにヒアリングに呼ばれるなど注目を集めている。

 同社の事業は、(1)祭りのプロデュース(企画立案、運営・情報発信サポート、ワークショップやセミナーの開催など)(2)祭りの参加ツアーの企画(3)祭りの情報に関するウェブプラットフォームの運営―など。会社のスタッフのほか、祭りが好きで地域を盛り上げたいという「サポーター」を全国に300人以上有している。

 加藤社長は「お祭りをフックに地域を元気にできるようサポートしたい。地元の人との交流が生まれるのがお祭りのいいところ。観光誘客はもとより、定住・移住促進につながる可能性もある。地域には地元のお祭りを自慢してもらい、日本の若者や外国人には地域のお祭りに参加し楽しんでもらいたい」と語る。

 加藤社長らは、4月18日に首相官邸で開かれた関係省庁の局長級をメンバーとする観光戦略実行推進タスクフォースにヒアリングのために招かれた。政府は、地方での消費拡大に向け、祭りへの訪日外国人の参加、受け入れの環境整備を目指しており、同社の事業について話を聞いている。

 全国には規模の大小、内容を問わなければ、一説に30万以上の祭りがあると言われる。すべての祭りが観光活用を目的にしているわけではないが、同社は祭りをテーマに観光客を誘致する上で、多くの祭りが抱えている課題として、(1)プロモーションの不足(2)少子高齢化などに伴う人材不足(3)マンネリ化(4)若年層、外国人の参加拡大―などを挙げる。

 同社は昨年8月、例年約40万人が参加する広島県三原市の夏祭り「三原やっさ祭り」で、現地の地域おこし協力隊と連携し、東京などの20、30歳代の若者、外国人の参加枠を設定。踊りの衣装や練習の機会を提供し、地元住民と一緒に踊り、祭りを体験してもらった。また、東京都墨田区などの隅田川周辺地域で昨年10月に初めて開催された、妖怪に扮して練り歩く「お江戸のハロウィン」の企画などに参加し、地元関係者と新たな祭りづくりに挑戦した。

 今年2月には、出版、デジタルメディアを手掛ける昭文社(東京都千代田区)とともに、祭りを軸にした観光誘客について茨城県笠間市と包括的連携協定を締結した。春のつつじまつり、夏の笠間のまつり、秋の菊まつり、冬の悪態まつりなど、年間を通じて行事の多い笠間市への誘客に関する企画、プロモーションを支援している。

 同社は、ウェブサイト「オマツリジャパン」で日本中の祭りの魅力を発信している。加えて、祭りの主催者向けの情報サービスサイト「オマツリジャパンリーダーズ」を運営。オマツリジャパンリーダーズは登録制(無料)で、成功している祭りのノウハウ集、機材やパフォーマー、飲食物、警備などの情報を紹介している。

 今後の事業展開について加藤社長は「ウェブサイトの多言語化を検討し、外国人が楽しめるお祭りの情報などを発信したい」「民泊や農山漁村滞在と地元の祭りの体験を組み合わせたツアーなども企画していく」と話している。  


オマツリジャパンの加藤社長(右)とお祭りコーディネーターの大山勝廣氏

 
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