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観光業界人インタビュー 第2796号≪2015年5月2日(土)発行≫掲載
料理長自らがサービスを
労働でなくもてなす意識

分とく山料理長
野﨑 洋光氏


 素材の味を生かした料理と家庭料理を中心とした分かりやすく、アイデアにあふれる料理が人気の野﨑洋光さん。日本料理店「分とく山」の料理長である野﨑さんが考える、旅館や料理長のあるべき姿について聞いた。

──和食が世界無形文化遺産に登録された。

 「日本人が日本人じゃなくなったから遺産に登録されたのでしょう。日本人が本当に和食のことを知っているのかが問題です。きつい言い方になりますが、地方の旅館はなくてもいい料理を豪華に作っているんです。なぜ朝食にバイキングが必要ですか。おいしいご飯と味噌汁があったらそれでいいはずなのに、その満足を作らないのです。僕はある旅館の料理長に朝食はあなたが作った方がいいよと言ったことがあります。大広間にガス台を置いて、お客さまが来たら味噌汁を作り始める。ご飯は15分おきに炊く。あとは干物と漬け物があったら十分。あるいは、菜ものの茹でたてを出すのが一番のぜいたくだと思います」

 「苦言を呈すると、地方の料理人ほど勉強していないです。料理ではなく作業になっている。自分たちにしかできない料理、僕らには勝てない技が必ずあるはずです。地方には僕たちが知らない食材がいっぱいあります。それを生かしてない感じがします。みなさん賄いをすごくおいしく作れるのに、旅行会社に言われるままのポーズの料理になってますね。もっと自分たちの意地を見せられたら、その地方の特徴を生かした地域の日本料理が作れると思います」

──どうやって特徴を作ればいいか。

 「旅館はもっと遊んだほうがいい。旅館側が遊ばないとだめ。明日は天気がいいから、朝食は田んぼに出てあぜ道で食べましょうとかとかね。地方のいいものをお年寄りから聞いたり、祭りや行事をどうやって盛り上げるかが大事。そこに行かなきゃいけない理由を作らないといけない。サービスの良さならシティホテルもあります」

 「名物がないという人たちもいます。旅館にも感動は1日に何百個もあります。それを毎日ノートにつけなさいと言いました。何月何日何時何分に月の光がテーブルに差し込むか調べておいて、そこに茶碗を差し出す。朝日は何時何分にどこから差し込むか、風の吹き方、芽吹く時期でもなんでも細かく集めることが大事。行事を自分たちで作っていく」

──旅館の料理人はどうあるべきか。

 「ある田舎に、料理は田舎のポーズをとっているけど、アミノ酸を使ったり、地元の食材を使っていない、心が田舎者になっている宿があった。地方の料理人は労働者になっている。一生懸命もてなそうという気持ちが希薄になって、本当にいいものを作ろうという意地がない。魚が獲れない地域なら、野菜はオーダーが入ってから収穫すればいい。一番いいものを作ろうという気持ちが大切。コストはかかるが、お客さまに『高いけどおいしいよね』と言われることは褒め言葉です。一つ一つに意識があることが重要です。それは社長ではなく、従業員が作りあげていかないとだめだと思う」

 「もう一つ大事なことは、料理長が自らサービスをすること。お客さまから罵声を浴びることが一番いいことなんです。料理店の料理人はカウンターに立つので、僕は30年以上前からさらし者です。料理長の仕事って何だと思います。トラブル処理係ですよ。お客さまにまずいと言われて目の前に立っていられますか。苦情は社長や女将でもなく料理長が聞けば旅館はよくなりますよ。聞いて歩くことが一番の教育です」

 「旅館の料理長だって、朝見送りしたっていいわけです。重要な人が見送りすることが大切なんです。担当した人が荷物を持ってあげる。料理長が『昨日はどうだったでしょうか』と声をかける。それと常に白衣がきれいなこと。だらしない白衣を着ない。制服、礼服なんですから。身なりをきちんとして、料理長も社長やおかみさんと同じクラスなんだという意識を持たないといけない」

 「よく旅館の主人から宿を見に来てくれと言われるが、見るのは簡単。やはり従業員なんですよね。地方はもう少し労働ではなく、もてなす意識を持たないといけない。難しい言葉になりますが『真心』ですね」

【のざき・ひろみつ】

【「5つ星の宿’15」での特別インタビューから抜粋】


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