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観光業界人インタビュー 第2610号≪2011年5月28日(土)発行≫掲載
互いに知恵出し乗り切ろう
トップツアー社長
石川邦大氏
──4月に被災地を訪問した。
「東北の旅ホ連会員、トップ会会員の代表からの意見収集が目的だった。各会員からは、正しい情報発信を求める声が目立った。あわせて支店のある石巻に行ったが、本当に大変な被災状況だった。しかしそんな厳しい状況でも住民は生活しており、『できることがあればしなければ』との思いが生まれた」
──会社としてはどのような復興支援策を展開していくのか。
「直接的支援としては、特に被害の大きかった太平洋沿岸部の学校へ現地の教育委員会を通して文具や図書券を贈ることにした」
「また最初の現地訪問での思いの延長として行ったのが、社員による復興ボランティア活動だ。5月12日から2泊4日の日程で行い、私を含め約30人が参加した。現地での主な活動内容は、通学路や民家に堆積した泥やがれきの除去と民家からの家財の運び出しだった。『出発前は本当に役に立つのか』あるいは『物見遊山的に感じられてしまうのではないか』などさまざまな意見があったが、実際に活動を終えてみると、皆、微力かもしれないが役に立てたことを実感できた。また同時に、30人で行ったにもかかわらずできたことがわずかであったことを考えると、ボランティアの数がまだ不足していると感じた」
「旅行会社としてもっとも大切なのは、東北への送客だ。被害の大きかった地域の多くはまだインフラなどが充分に回復していないが、東北の中でも直接的被害の少ないエリアも多く、それらのエリアの観光産業が受けている打撃も非常に大きい。送客については業界挙げて取り組むべきことだが、当社としてできることは確実に取り組みたい」
「観光産業の打撃という面では、観光客の激減により宿泊施設と同じく、あるいはそれ以上にダメージを受けているのが土産品関係の事業者だ。宿泊は地域によっては復興関係者や被災者受け入れにより何らかの収入があるところもあるが、土産品は観光客がいなければ収入はストップする。そのため、土産品店が取り扱っている特産品を当社の渉外営業の担当者が販売する取り組みを始めた。インセンティブ旅行の代替などとして一定の成果が上がってきている」
──貴社にとって東北とは。
「自然や文化遺産、食資源などの観光素材が抱負で魅力あるデスティネーションであり、重要なエリアだ。昨年東北新幹線が全線開通し、3月初めには『はやぶさ』が運行を始めるなど観光客の伸びが期待されていた地域でもある。また教育旅行の行先としても重要なエリアだ」
──東北は、幅広い地域で風評被害がじん大だ。
「当社の取り扱いの中でも、東北行きの教育旅行は6月までの催行分については中止や行き先変更が続出した。一般団体についても中止が目立った。また、一般団体については風評だけでなく経済活動の停滞による中止も出ている。当社としても風評の部分については営業担当者を中心に正しい情報を出していくことで被害を防いでいく」
「風評の影響が大きいのはインバウンドだ。これは国や業界としての取り組みが重要になってくるだろうが、当社としても多言語サイト含めありとあらゆる場面で、安心、安全のメッセージを出していく」
──旅館・ホテル、観光施設へのメッセージを。
「われわれ旅行会社の仕事は、お客さまをさまざまな形で関係施設につなぐことだ。刻々と変化する被災地や周辺エリアの状況に合わせた施策をじん速に打つ、また需要が出てきたときにお客さまを確実に関係施設につないでいくことが大切だ。最終的には観光型のツアーを元通りに催行するのがゴールだが、その段階までには少し時間がかかるだろう。だが現時点で、旅館・ホテル、関係施設の皆さんの経営環境は非常に厳しい。ツアーが戻るまでの間、皆さんが事業を継続するのに少しでも役立つようなことにさまざまな形で取り組んでいく」
「旅館・ホテル、観光関連施設もわれわれ旅行会社も、今年は生きていくために知恵を振り絞らないといけない。互いに情報や知恵を出し合い、新しいことに取り組んでいきたい」
【いしかわ・くにひろ】
【聞き手・小林茉莉】
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