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観光業界人インタビュー 第2577号≪2010年9月11日(土)発行≫掲載
専門通訳など充実し差別化

KNT国際旅行事業本部カンパニー販売部長
阿部 員子氏

──7月1日付けで国際旅行事業本部カンパニー内に、訪日外国人向け観光医療の専門部署を立ち上げた。
 「名称は、『観光メディカルプロジェクトチーム』。インバウンド部門の経験が豊富な社員5人がメンバーだ。社会的な関心は高く、立ち上げ以降、全国の病院や、自社では商品化できないという旅行会社などから、観光医療の商品について問い合わせが来ている」

──この分野は各社参入済みだが、他社との違いをどのようにして出していくのか。
 「現地の旅行会社や医療コンサルタントなどから、『PET(陽電子放射断層撮影)検診など日本の高度医療を利用しているが、検診時の通訳、検診後のサポート態勢が整っておらず、非常に不満だ』との声があり、これらの問題の解消を第一に年初から商品づくりを進めてきた」

 「通訳については、専門の事業者と提携し、医師免許もしくは看護師免許を持つ、医療知識を持った専門の通訳を用意した点が特徴だ。ツアー期間中に結果が分かる検査項目は、病院で医師が医療通訳を介して結果画像などを見ながら説明を行う。事後に判明する項目の結果送付は、他社では3週間程度かかるところを10日程度で行う予定だ」

 「サポート面では、利用者に送付する診断書に、生活上での注意点などについてのアドバイスを盛り込む。また当社商品の特徴として、検査結果に問題があった場合には、日本もしくは中国の病院で治療ができる態勢も整えた」

 「日本でのPET検診の価値は、診断結果を解析する医師の専門知識や経験の豊富さと、検診後のフォローアップにある。医師からの説明を重視することで観光医療ツアーの付加価値は高められる」

──専用商品の概要は。
 「東京、大阪、横浜、日光の4つの医療機関と連携して、PET検診の受診と検査結果に基づく診断を行う。メーンターゲットであるビジネスマンが多忙な中でもPET検診を受けられるよう、ツアーは2泊3日から利用できるようにした。都市部の場合、専門のガイドが付き、宿泊は5つ星ランクのホテル。日光の場合には温泉旅館に長めに滞在してもらい、PET検診と併わせ、『温泉スパ』の魅力や和食のヘルシーさなども楽しんでもらう。日光のようなリゾート型のツアーは、北海道での実施も検討している」

 「中国を中心に、中近東、ロシアに売り込む。料金は、東京2泊3日の場合、宿泊、専用車、専門通訳など込みで60〜80万円。顧客の要望に合わせ、2泊3日の検診の前後にゴルフなどの観光メニューも付けられる。観光医療なので観光を組み合わせ5泊6日などのツアーにするのが理想だが、まだニーズは小さい」

──取り扱い目標は。
 「9月から1年で100人。個人ビザの緩和などで医療観光での来日客は万人単位での増加を期待されているが、価格帯の高い商品なので簡単には伸びないだろう。日中で医療系コンサルティングを行う会社や富裕層組織を持つ会社など、顧客を持っている事業者と組み、売り込んでいく。診療施設、対応地域は当面拡大せず、市場規模に合わせた確実な展開をしていく」

──PETツアー以外は。
 「内視鏡手術なども日本の医療技術は高水準なので、可能性としてはありうる。レーシック、美容整形手術などもニーズはあるが、いずれも外科的な分野なので、検診ツアーとは保険、安全面などが大きく異なり、参入は簡単ではないと考えている」

【あべ・かずこ】
 1960年愛媛県生まれ。83年津田塾大卒、近畿日本ツーリスト入社。06年国際旅行部課長、07年同部部長を経て08年から現職。国際旅行事業本部カンパニーロンドン支店長、スポーツ事業部部長を兼務。

【聞き手・小林茉莉】


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