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 ■観光業界人インタビュー 第2560号≪2010年5月1日(土)発行≫掲載
健全経営へ仕組み構築
「提案力」磨く研修実施


KNTツーリスト 社長
菊池剛志氏


──就任から3カ月が経過したが、どのような取り組みを進めているか。
 「KNTツーリスト(KNTT)は設立して3年目になるが、2年間は非常に厳しい経営環境で赤字であった。今年は何としても黒字にしなければならない。人材育成、店舗戦略、商品戦略など、さまざまな角度から検討して、この3ヶ月である一定の方向を示し、短期的にスピードをもって取り組むことにした。この4月からは、将来の健全経営に向けた仕組みの構築を具体的にスタートさせた。これまで約130店舗をまわり、社員の声を聞き、店を取り巻く環境、流通している商品量、マーケット状況から、その店、その地域に、より効果の発揮できる仕組み作りが必要だと考えている」

──KNTTの中に入って、改めて気付いたことはあるか。
 「これまでの経験から、店頭販売についてはある程度分かっていたつもりだったが、実際店舗をまわってみると、地域や、立地によってかなりの違いがあった。池袋営業所や新宿営業所のように長年店頭販売専門であった店、2年前に団体販売や提携販売から分離して店頭専門として自立した店、また、営業時間が極端に長いショッピングセンター(SC)店舗など、それぞれ課題を抱えている。そうした現状を踏まえ当社の基本的なミッションを再確認していく。当社は『KNTグループである』『メイト・ホリデイを販売することが安定経営の基本である』など、今まで以上に全社一丸となって取り組んでいきたい」

 「リテーラーなのでメイト、ホリデイ以外を売ることは自由だが、大前提としては『メイト、ホリデイの販売』がある。やはりメイト、ホリデイを売ることへのプライドを持つことが必要だ。4月1日から、メイト、ホリデイの販売促進に地道に取り組んでいる。メイトでは10万人を超える顧客に販促ハガキを送った。全国の販売員が1人70枚程度にそれぞれコメントを入れて出し、さらにハガキが届いたタイミングで大きな広告を出す、また何かインセンティブをつける、といった取り組みだ。地域や店舗により実情に違いはあるが、販促を各店舗任せにするばかりではかなりの温度差が出てくる。ひと手間かけた販促と広告戦略を組み合わせ、全社で定期的に行う」

──店舗展開の方針は。
 「今年すでに5店舗を開いたが、重視すべきはやはり『将来性』。マーケット規模の観点では、人口の増減などから大都市圏に集中せざるを得ない。商品の観点では、当社として収益率の良いメイト、ホリデイ商品をより多く売りたいわけだが、メイト拠点の撤退、縮小などで商品量が十分でない地域、特に地方については損益を考えると縮小せざるを得ない。SC店かターミナル店かという点では、SC店の方が出店費用は高いものの、集客のための販促費用を抑えることができるためメリットは大きい。もちろん出店コストに見合った売り上げが出せるかの見極めが重要だ」

 「改革による店舗閉鎖、縮小地域については、売上減少や商品力に影響が出るが、KNTグループとして最小限のロスに留めるように仕組みを考える。KNTの戦略に沿って、ウェブ販売、全国の仕入販売センターには最大限に協力をしていく。一番の問題は社員の雇用だ。存続店舗への異動や、グループ内での出向で対象社員の6割は雇用できるが、その地域での雇用を希望する社員へは、旅丸会さんや旅連の皆さんにもお願いして、雇用確保に全力をあげて対応している。今まで当社のために頑張ってくれた社員に対して企業として当然のことだと思うので、4月〜5月はその活動が中心となる」

──価格志向が強い中で、どうやってリアル店舗らしい「付加価値の高い」商品を売っていくのか。
 「『これを下さい』と言って店舗に来るお客さまにその商品だけを売るのではなく、その時にお得な商品、お客さまが欲しい物がなかったときにはそれに替わる、勝る商品を売れる『提案力』、またネットとの価格の違いをお客さまの納得がいく形で説明できる『知識力』が求められてくる。そのためにも社員のトレーニングの仕方から変えていかなければならない。お客さまは目的地やそこに行くまでの文化や遺産などを求めて旅行に行く。その求めに対し、適確に答えられるスキルを社員に備えさせる。従来の社員研修は集団でたくさんのものを漫然と見て終わっていた面があった。これからは『商品をどう提案するか』『何を勧めるか』など具体的な研修テーマや目的を課すことで、研修での経験を販売につながる『確かな力』にする」

──近旅連との連携をどう考えるか。
 「『スマイルにっぽん』などの大きな共同キャンペーンだけでなく地域ごとのミニキャンペーンも展開している。売る側のマーケットとして、オフ期対策などのイベントやキャンペーンを一緒に考え、展開していきたい。また施設の売りは何なのか、それを明確に打ち出していただければ、当社の社員も販売の現場でもっとアピールできる」

 「店舗は一部縮小するが、大都市からのお客さまをこれまで以上にたくさん送客できるよう取り組んでいく。社員研修はじめさまざまな面でご協力、ご理解をお願いしたい」

【きくち・つよし】

【聞き手・小林茉莉】


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