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 ■観光業界人インタビュー 第2557号≪2010年4月10日(土)発行≫掲載
日本人は素晴らしい

ウェスト・ペーセス・ホテルグループ
会長兼CEO
ホルスト・シュルツ 氏


──ホテル経営にとって大切なことは何か。
 「『哲学』だ。最初に働いたホテルのレストラン・マネージャーが素晴らしい方で、多くを学んだ。彼は、お金のためだけに働くのではなく、常に『エクセレンス(卓越性)』を追求していた。ゲストを紳士淑女としてもてなし、ゲストの方も彼に敬意を払っていた。ここから『エクセレンスを追求する仕事は尊敬され、そういう仕事をする人も尊敬される』という私の哲学が生まれた。リッツ・カールトンの全スタッフが常に携行する『サービス品質の全体最適化のためのルール』には、『クレド(信条)』『従業員ヘの約束』『サービスの3ステップ』と共に『紳士淑女にサービスする私たちも紳士淑女です(We are Ladies and Gentlemen serving Ladies and Gentlemen.)』と記してある」

──97年に初めて日本に進出。リッツ・カールトン・大阪を開業した。
 「阪神電鉄の方と初めて会ってから開業までに7年かかった。会議を重ねる中で、日本人の丁寧な仕事の進め方や礼儀正しさ、清潔さなどを理解し、学んだ。日本人を尊敬するようになった」

──いま宿泊産業界の収益は厳しい。
 「成功は未来にあるのではない。目の前にある仕事をしっかりやることが大事だ。エクセレンスを生み出すのが私たちの仕事。コスト削減はホテル経営のベテランでなくても誰にでもできる。無能な経営者はコスト削減のみに走るが、有能なプロは新しい事業機会を創造する」

 「大きなホテル運営会社は四半期決算によって方向性を左右され、エクセレンスを追求するという目的を忘れがちだ。ただ日本人は、商品やサービスが優れていれば結果として売り上げがあがり、利益につながるということを正しく理解していると思う」

──ウェスト・ペーセス・ホテルグループでは、安藤忠雄氏が設計した「カペラ・ニセコ」の計画が進んでいる。
 「シンガポールの投資会社と2年前に運営委託契約を結んだ。まもなく着工する。全室温泉付きのヴィレッジ80室、50戸のレジデンス、スパ、室内プール、レストランなどを備えている」

──欧米富裕層観光客の誘致を目指す、ザ・リアル・ジャパンいしかわプロジェクト推進協議会が2月末に開いた「第2回ラグジュアリーライフスタイル国際会議」で石川県を訪れた。
 「実は初めて日本の温泉旅館に宿泊した。和倉温泉の加賀屋。客室、温泉、料理、全てが素晴らしかった。もてなしというのは心からくるもの。日本人のもてなしには心がこもっているといつも感じる」

──インバウンド客誘致のアドバイスを。
 「欧米人は日本語が読めない。分かりやすい英語メニューは必須だ。今回輪島漆器の工房を見学したが、職人の手作業に驚いた。製造工程の見学は外国人にうけると思う」

【ホルスト・シュルツ】
 ドイツ出身。14歳でホテル業に入る。65年渡米。ハイアットホテル副社長を経て、83年、米アトランタに開業したリッツ・カールトン第1号ホテルの総支配人兼副社長に就任。以来17年間で「ザ・リッツカールトン大阪」を含め全世界に約40軒のリッツ・カールトン・ホテルを開業した。88年社長兼副社長。01年に同ホテルがマリオット・インターナショナルの傘下に入ると同時に経営トップの座を去ったが、02年にリッツ・カールトン・ホテルの元幹部らとホテル運営会社、ウェスト・ペーセス・ホテルグループを起業した。

【聞き手・江口英一】


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