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 ■観光業界人インタビュー 第2429号≪2007年7月21日(土)発行≫掲載
「観光」の概念を広げ
人的交流で活性化を


山形県副知事
後藤靖子氏

──なぜ山形に。
「私も聞きたい(笑い)。ニューヨークのJNTOにいたのだが、国交省から『山形県の知事が君を名指しで副知事に欲しいと言っている』と。父方の祖父母が若いころまで山形におり、これも不思議な縁かな、と」

──就任から1年半、山形の印象は変わったか。
「行く前は自然や温泉という一般的イメージでしかなかった。行ってみると県内でも様々な文化や個性があり、とても表情豊か。北前船文化の蓄積が深く、普通の家庭にもお雛様など素晴らしいものが数多く残っている。あとは『かっこよさ』。今、モノづくりプロジェクト『山形工房』をやっているが、単に伝統工芸というだけでなく優れたデザイン力と機能性がある」

「やはり情報発信量が足りていないのではないか。山形の人は『PR下手は山形の県民性』というが、今まではPRしなくても生きていける豊かさがあったのだろう。しかしこれからの競争社会、高齢化社会では、外との関わりを大事にしアピールしていかないと生き残れない。かっこよさや文化の奥深さなどでも勝負できる素地がある。もっと発信すればブランド力はさらに高まるはずだ」 

──観光で地域を活性化するという意識が、官民ともに足りないと感じるか。
「感じるのは『観光』の概念の狭さ。温泉旅館に泊まって一晩騒いで帰るようなイメージが根強い。『その地域の持つ力に愛着を持って人が来てくれること全体が観光』と広くとらえると、やれることはたくさん見えてくる。例えば町の中を歩いて見てもらうことで暮らしの豊かさも見えてくる。そういった工夫をする余地はまだまだある。また、モノづくりや農業、商店街など町の総合力を観光と組み合わせることで、経済にも、地域の人の生活の誇りにもつながるという発想をもっと持つべき。観光客に地元の農産物を味わってもらうことが県外で山形の物を売る糧になり、消費の拡大にもなる。いろんな産業をつなげるいう意味で観光が他の産業を活性化させることができる、観光はそういう力を持った産業だという発想の転換が必要だ」

──「やまがた観光まちづくり塾」については。後藤副知事が名誉塾長を務めているが。
「観光は広がりのある分野だという認識を持つ人、そして行動力のある人をもっと増やしたい。山形県はこれまでも人材育成に力を入れており、人材はいると思う。しかし意外と県内の他の地域やその地域の人、活動を知らないし、つながってないのではないか。他地域の人や活動を知るきっかけ、つなげる場を作りたいと思い『まちづくり塾』を始めた。違う地域やそこの知恵を知るだけでも、自分たちの蛸壺にはまっていたのを解決できる知恵が湧くし、自分の地域も客観視できる。実際に塾では必ず町歩きをし、必ず『他の地域の塾こそ出てね』と言う.私も毎回必ず町歩きから参加する。観光は人と人がつながることが基本。まだ2年目だが、メーリングリストを作って様々な意見交換も進んでおり、続けていけば基礎力がつくはずだ」

「山形の人はみなさんすごく素直で『こりゃすごい』と思うとどんどん学び、つながる。そういうつながりが地域の最大の強みではないか。距離は遠くても心理的距離感は近い、交流とはそういうもの。そういったベースがあれば何かあったとき必ず山形を外から応援しようという人は増えてくるし、山形県の発信力の高まりにもつながる。地域を良くしていくのは何も地元の人だけじゃない。外の人の知恵ももらえばいい。そういう交流力をもっとつける必要があるし、ポテンシャルのある人はたくさんいる。そしてこういう人たちが能力を発揮できるように土台を整えていく、あるいはいろんな人をつなげる、地域の人を元気にするお手伝いなどは行政が出来る仕事。そこに行政機関はもっと自信を持つべき」

──5月に東北観光推進機構ができたが。
「非常に期待している。当面の事業計画を見ると見本市出展などイベント系が中心。東北は圧倒的に情報量が少ないから情報発信は意識してやる必要がある。一方で東北観光は、旅行しやすい環境整備、2次交通やインフォメーション、マップの充実など、ソフトのインフラが障害になっている面もあると思う。トータルとしての東北に何が欠けているのか、専門家や民間で実際に頑張っている人達の意見をよく聞いて、戦略をきちんと立てた上でがんがんやってほしい」


【聞き手・内井高弘】
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