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 ■観光業界人インタビュー 第2428号≪2007年7月14日(土)発行≫掲載
新たな観光プラン策定
5年後、外客700万人に


東京都産業労働局観光部長
中尾根明子氏

──昨年6月に部長に就任、ちょうど1年ですね。
「01年に策定した観光産業振興プランが06年度で終了し、新たなプランの策定時期を迎えた時に部長に就任。この1年はその策定に精力を費やしました。厳しくもきつい1年でしたね。その成果を今年3月、都観光産業振興プラン(計画期間07〜11年度)として発表しました。目標(5年後)は外国人旅行者を年間700万人、国内旅行者を年間5億人誘致することです。これが実現すれば、10兆円を超える経済波及効果があり、66万人の雇用効果があります」

──新プランの柱は。
「第1次プランは観光を産業として位置づけることが大きな目的であり、そのため、外国人観光客を積極的に誘致、(観光振興は)経済発展につながるということをアピールしてきた。その後観光をめぐる新たな要因も出てきました。例えばオリンピック招致、羽田空港の国際化、少子高齢化であり、その的確な対応が不可欠になっています。その状況を踏まえ、新プランは(1)東京の魅力を世界に発信(2)観光資源の開発(3)受入体制の整備──を柱に施策を展開します。観光は生き物です。状況が変わればアプローチの仕方も変わります」

──初年度の今年、どんな施策を展開しますか。
「今年度予算額は22億8千万円(前年度比9500万円増)で、魅力の発信に7億2600万円、資源開発に7億5900万円、体制整備に6億3700万円を充てる。新規事業としては『江戸東京・まちなみ情緒の回生』『地域力を活用した観光まちづくりの支援』『海外青少年の教育旅行受け入れ促進』などがあります」

──まちなみ情緒回生とはどんなものですか。
「都内観光を見ても個人や少グループでのまち歩きが非常に目立ちます。谷中や根津、神楽坂周辺などは特に人気のスポットです。それに対応した案内標識の整備はもちろんですが、景観に配慮したまちなみを整備する。例えばマンション群の中に埋没している由緒ある料亭や史跡などを黒塀で覆い、観光客が見つけやすく、かつ和める空間を作ってはどうか。今年度は調査費として1千万円を計上しました。2カ所ほど選び、来年度はその景観整備費を補助する。地元の人が自ら観光資源を掘り起こし、手を上げてほしい」

──教育旅行の受け入れについては。
「都庁内の関係部局や東京観光財団(TCVB)、関東運輸局などと『東京都訪日教育旅行促進協議会』を立ち上げるとともに、TCVBに海外の学校と都内の公立学校をマッチングする窓口を設けました。5月末には、都立千早高校と台湾の高級中学(日本の高校に相当)の交流が実現するなど早くも成果を上げています。窓口の大きな特徴は、海外のエージェントからの交流申し込みにも対応できることです」

──コンベンション誘致はいかがですか。ソウルや北京などの追い上げもあって、開催件数は伸び悩み状況にあります。
「05年の開催件数は東京の56件に対し、ソウルは103件、北京は82件、大きく離されている。誘致については高度な専門性を兼ね備えた人材が不可欠だが、現状では十分な人材供給がなされていない。このため即戦力となる人材育成(実務家のレベルアップ)を早急に進める。また、誘致活動にあたっての必要な資金については助成制度や貸付制度を設けており、制度面で支援する。特に誘致への助成制度を設けているのは都ぐらいではないか」

──インバウンドについては。
「プランではオリンピック招致に向け、(1)東京をあげたおもてなしの気運の醸成(2)飲食店の外国語メニュー等の普及(3)列車運行情報の多言語化──を戦略的取り組みとしている。このうち、外国語メニューについては築地をモデル地域にメニュー作りを進める」

──今年1月、観光立国推進基本法が施行されましたが。
「政府自らが観光に力を入れることを法律面でアピールしたわけで、高く評価している。観光全体の底上げにつながってくる。ただ、国と地方自治体はそれぞれの役割がある。都は何をすべきかを自覚した上で、施策を展開していく」

──部が局に格上げしてもいいのでは。
「名称よりも中身です(笑い)。都には観光施策推進会議があり、ここで各部局と調整している。現状では部でも全く問題はない」


【聞き手・内井高弘】
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