観光産業革新検討会、宿泊産業の活性化へ商習慣も論点に


 観光庁の観光産業革新検討会(座長・玉井和博大妻女子大学教授)の第2回会合が1日に開かれ、宿泊産業の生産性向上などをテーマに委員の有識者が意見交換した。論点は宿泊業の経営状況、宿泊旅行の動向など多岐にわたったが、宿泊業と旅行業の間の商習慣、手数料率や客室ブロックにも議論が及んだ。

 観光庁は、第2回会合に際し宿泊産業の生産性向上に関する論点を複数例示。その一つが「生産性向上を妨げる非効率な商習慣は何か、その商習慣を変えることができないボトルネックは何か」。委員の有識者からは、手数料率や客室ブロックに関する意見が出された。

 各種調査を基にした観光庁の説明によると、旅館は集客の6割以上を旅行会社やOTA(オンライン・トラベル・エージェント)に依存。販売手数料率は旅行会社が10~15%程度、OTAが8~15%程度。消費者への調査では、国内旅行の1泊2食にかける費用が1万円未満と回答した割合は半数以上を占めた。

 検討会委員を務める森トラスト・ホテルズ&リゾーツ社長、伊達美和子氏は、「1泊2食の予算が1万円という旅行者の意向の中で、エージェントの手数料、クレジットカードの手数料などもろもろ払って、利益が残るビジネスモデルがそもそもあるのか」と述べ、旅館の付加価値向上、ビジネスモデルの転換などの必要性を指摘した。

 客室ブロックは、旅行会社が宿泊施設から客室を仕入れる際の商習慣の一つ。旅行会社は押さえた客室を販売できない場合、宿泊施設に客室を返すが、その時期は一般的に2~3週間前。宿泊施設は、旅行会社の販売力に期待する一方で、販売機会を失うリスクを負うことになる。

 検討会委員の日本旅館協会労務委員長、山口敦史氏は「近年では客室ブロック期間でも、お願いすれば返室に応じてくれる旅行会社が増えたが、電話やファクスなど人を介在した個別のやり取りが必要。ウェブ上で自動的に返室作業ができるようにはなっていない」と現状を説明した。

 同検討会は、低い生産性や人手不足などの課題を抱える宿泊産業の活性化策などを議論し、観光庁に対する提言を6月までにまとめる。

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