観光庁委員会、MICE振興で中間報告~コンベンションビューロー強化や人材育成など提言


 観光庁のMICE国際競争力強化委員会(座長・西村幸夫東京大学大学院工学系研究科教授)はこのほど、MICEの振興策に関する提言の中間報告をまとめた。産学官の連携や専門的な人材、ノウハウの不足などを課題として、地域のコンベンションビューロー(CB)の機能強化、国の総力を挙げた誘致態勢の構築などを求めた。国際会議に加え、企業ミーティング、インセンティブ(報奨)旅行、展示会に関しても目標を明確化して施策を強化するよう提言した。

 世界の主要国は、MICEの誘致、開催に注力しており、国際競争が激化。ICCA(国際会議協会)の統計によると、2016年の国際会議の開催件数で日本は中国に追い付かれ、同数の410件、アジアで1位の順位を分け合った。開催国として相対的な地位の低下が懸念されている。

 政府は国際会議に関して、「日本再興戦略」で、30年にはアジアでトップの開催国として「不動の地位」を築くと目標を明記。観光立国推進基本計画でも、20年までにアジア主要国(日本、中国、韓国、豪州、シンガポール)の開催件数に占める割合3割以上、アジア最大の開催国の地位を維持する目標を掲げている。

 委員会の中間報告では、日本のMICEへの取り組みの課題として、地域のCBに対する自治体などの支援、投資の不足をはじめ、政府や産学官の連携の不十分さ、国際的に通用する専門人材やノウハウの不足などを指摘した。 

 課題に対する施策には、(1)観光庁、日本政府観光局(JNTO)、CBの役割分担の徹底と、JNTOの体制強化(2)CBの機能強化とCBを中核とする地域連携の推進(CB主導のユニークベニューの開発、活用など含む)(3)「TEAM JAPAN」による総力を挙げた誘致態勢の構築(4)専門的な人材の育成・強化―などを挙げた。

 来年度事業での予算要求を含め、事業の実施時期も明記。今年10月をめどにした施策では、CBの機能強化に向けた情報共有の場として「グローバルMICE都市(観光庁が重点支援する12都市)・都市力強化対策本部」の設置、人材育成の手法を検討する「MICE人材育成協議会」の設置などを掲げた。来年度に向けては、CBのロビーイング能力の強化やユニークベニューの促進に関する事業の予算を要求するように求めた。

 また、企業ミーティング、インセンティブ旅行、展示会の誘致、開催について、国際会議に比べて十分な施策が講じられてこなかったと指摘。これらの分野は統計データが未整備などの課題があるが、数値目標を明確化し、施策の対象をMICE全体に拡充することを提言した。

 有識者による委員会の議論に並行し、昨年12月に設置された政府のMICE推進関係府省連絡会議では、府省庁を挙げた施策の具体化を検討中で、「関係府省MICE支援アクションプラン」を今年度末までに策定する。

 アクションプランの中間とりまとめでは、関係府省庁の調整、連携のもとに、(1)「TEAM JAPAN」による総力を挙げた誘致態勢の構築(2)開催地としての魅力向上(3)誘致力の強化―などを施策の柱に位置づけている。


ユニークベニューの促進も課題(写真は、迎賓館赤坂離宮本館で開かれた訪日旅行ビジネス交流会=昨年11月)

 
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