活動は都道府県組合へ~全旅連の民泊対応


民泊新法への対応を協議した全旅連の「研修会」

条例制定へ各地で陳情 街頭署名で住民らに訴え

 
 全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連、多田計介会長=石川県・ゆけむりの宿美湾荘)は8月23、24の両日、東京都内で「常務理事(各県理事長)・理事合同研修会」を開催。来年6月にも施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)への対応を全国47都道府県旅館ホテル組合理事長ら参集のもと協議した。地域住民の生活環境悪化を危惧する全旅連は、新法で決められている民泊の年間営業日数上限180日をさらに制限する条例を都道府県や保健所設置市区に作ってもらうよう、関係方面への陳情や街頭での署名活動を都道府県旅館ホテル組合ごとに行うことを確認した。

 会の冒頭あいさつした多田会長は、「重要なのはわれわれが商売をさせていただいている地域の安心と安全だ。よりよい結果が出るように努めてまいりたい」と強調。

 観光庁観光産業課の鈴木貴典課長が民泊新法の概要と新法ができるまでの経緯、新法関連の政省令とガイドラインの現在の検討状況を説明した。

 新法の第18条で、都道府県などが「政令で定める基準に従い条例で定めるところにより、区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限できる」とした点について鈴木課長は、「政令に細かい基準を書いて、自治体の判断を制限することはできるだけせず、さまざまな事情の中で自治体が認めたところは条例で制限できる、という書き方にしたい。(都道府県に)関係市町村の意見を聞いてほしいと明記したい」と説明。各県それぞれの判断で、県下市町村の意向を踏まえた形で条例を柔軟に制定できるようにする方向性であることを示唆した。

 説明に続き質疑応答が行われ、出席した都道府県旅館ホテル組合理事長らは「民泊事業者は都道府県知事、管理業者は国土交通大臣、仲介事業者は観光庁長官と、届け出や登録先が3カ所に分散している。もしトラブルが起きた場合、最終的にどこが責任を取るのか」「年間の営業日数は、事業者が自己申告する以外分からないのでは。順法精神を持って営業する人がどれほどいるか」と、法律自体を不安視する発言が続いた。

   ■   ■

 民泊新法への具体的対応を大木正治副会長、桑田雅之住宅宿泊事業法対策委員長を中心に、「住宅宿泊事業法(民泊新法)行動ハンドブック」をもとに説明した。

 ハンドブックでは、「民泊新法の制定は、わが国が国際観光を基幹産業として位置付け、われわれを含めた観光関連産業に携わる者に対して、これまで以上に期待していることの証」としながらも、「その法整備があまりにも早急すぎて矛盾だらけであることは否めない」と指摘。「私たちはそういった矛盾点を白日のもとにさらけ出し、一致団結して条例の中に反映していただくという活動を起こす」とした。

 そして具体的な要望事項として4項を明記(別項)。都道府県旅館ホテル組合はこれらの要望をまとめた陳情書を作り、県や保健所を持つ市区の首長、議会議長、保健所長らに提出する。

 地域住民らの安心、安全を守る観点から、条例制定に賛同してもらう街頭での署名活動も都道府県旅館ホテル組合で展開。署名簿を陳情書とともに首長らに手渡す。

 都道府県などでの条例制定作業は、民泊新法関連の政省令、ガイドラインが出されたのちの10月ごろから3カ月~半年かけて行われる見込みで、都道府県旅館ホテル組合はこの間に一連の活動を展開する。

 【要望事項】

 「住宅宿泊事業法」における、住宅宿泊事業者(民泊サービスの部屋提供者)について、住居専用地域においては地域の実情を鑑み条例において地域住民の安心安全の観点から民泊施設を除外していただきたい」。

 「地域住民の生活環境の維持保全および地域の観光産業の育成・促進の必要性など地域の実情に鑑み、住宅宿泊事業法第2条第3項にある年間提供日数の上限180泊をできる限り短縮していただきたい」。

 「納税の公平性の観点から、住宅宿泊事業者の届出番号を管理事業者や仲介事業者を含めて開示する義務を定めていただきたい」。

 「事件などの被害を拡大させない観点から、悪質な住宅宿泊事業者を排除するために、届出番号のない事業者や開示を拒否する事業者についてはサイトから削除する義務を定めていただきたい」。

 
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