民泊新法成立、周辺の生活環境維持に条約制限も


 民泊新法は、住宅宿泊(民泊)事業者に都道府県(または保健所設置市・特別区)への届け出を義務付け、宿泊者の安全確保、周辺地域からの苦情対応などの責務を規定した。家主不在型民泊の管理を受託する管理業者は国土交通省に、仲介サイトなどを運営する仲介業者は観光庁に登録を義務付けた。

 民泊の年間の提供日数の上限は180日で、住居専用地域などでも営業できる。都道府県などは、「騒音の発生その他の事象による生活環境の悪化を防止するため必要があるときは、合理的に必要と認められる限度において(中略)区域を定めて、住宅宿泊事業を実施する期間を制限することができる」と規定した。

 参院国土交通委員会の6日の審議では、条例で民泊事業を制限できる規定について、新規に参入する民泊事業者と、既存の旅館・ホテルなどの宿泊事業者との需給調整のための条例制定が可能かどうかの質疑に対し、観光庁の田村明比古長官が「いわゆる需給調整規定については、営業の自由の保障という観点から、最近の立法では規制手法として用いられていない」と説明した。

 民泊事業を制限する条例を制定できるのは、都道府県または保健所設置市・特別区と規定。それ以外の市町村の意見を反映する必要性について、田中良生国土交通副大臣は「都道府県が地域の実情を踏まえた条例を制定するためには、市町村の意見に配慮することが適切と考える。政省令などにおいて関係市町村の意見の聴取などについて規定したい」との考えを示した。

 また、新たに民泊用に新築され、入居者募集や居住利用の実態がない、いわゆる「民泊専用マンション」について、観光庁の田村長官は「本法案における住宅の要件に該当しないため、本法案の対象とならない。一方、賃貸や分譲を目的として新築されたマンションなどで、真摯に入居者の募集を行った結果として賃貸の借り手や分譲の買い手が付かず、一時的に民泊に用いられるような住戸がある場合は、本法案の対象になり得る」との見解を示した。

 法案審議に際し衆参両院の国土交通委員会は、それぞれに付帯決議を採択した。参院国交委は、「政府は、地方自治体において、生活環境の維持保全や地域の観光産業の育成・促進の必要性など、それぞれの地域の実情や宿泊ニーズに応じた住宅宿泊事業の制度運用が可能となるよう、十分な配慮を行うこと」などを付帯決議に盛り込んだ。

 石井啓一国交相は、民泊新法が成立の見通しとなった9日午前の記者会見で、「今後は適切な規制の下、旅行者の多様化する宿泊ニーズへの対応と、空室などのストックを有効に活用したいといった家主のニーズへの対応の双方に応える形で、地域の実情にも配慮した民泊サービスの提供が行われることが期待される」と述べ、厚生労働省をはじめ関係省庁などと連携し、制度の運用の詳細を詰めていく考えを示した。
 

 
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