こんぴら歌舞伎の発展へ、琴平町で協議会


四国こんぴら歌舞伎大芝居を開催中の金丸座

 江戸末期に建てられた芝居小屋、旧金毘羅大芝居(通称・金丸座)で毎年春に行われている四国こんぴら歌舞伎大芝居の推進協議会顧問・相談役会議が15日、香川県琴平町の湯元こんぴら温泉華の湯紅梅亭で開かれた。顧問、相談役を務めるJTBの田川博己会長、観光庁の田村明比古長官をはじめ町内外の関係者が出席。33年続いてきたこんぴら歌舞伎をさらに発展させようと意見交換し、観光振興への活用などを目指す声明文を採択した。

 金丸座はかつて芝居見物などで多くの観客を集め、歌舞伎も上演されていた。戦後、廃館となって老朽化が進んでいたが、1970年に国の重要文化財に指定され、76年の移築、復元を経て往時の姿を取り戻した。85年には、四国こんぴら歌舞伎大芝居の開催が実現し、以来、毎年行われている。

 推進協議会会長の小野正人琴平町長は「こんぴら歌舞伎は、江戸時代の情緒が楽しめるとして、33年間にわたってご好評をいただいてきたが、インバウンドを含めた集客をさら増やすとともに、世界に誇る伝統芸能である歌舞伎をもっと世界に発信しなければならない」とあいさつした。

 こんぴら歌舞伎の復活に尽力し、国土交通省から「観光カリスマ」に選ばれている推進協議会常任顧問の琴平グランドホテル、近兼孝休会長は、こんぴら歌舞伎の復活につながった歌舞伎俳優との交流、文化財利用に関する文化庁との折衝、旅行商品化へのJTBとの連携など、これまでの経緯を振り返った上で、「こんぴら歌舞伎を次世代に引き継いでいきたい」と訴え、関係者に継続的な支援を要請した。

 顧問、相談役からは、こんぴら歌舞伎を通じた観光振興などについて提言が相次いだ。

 当初から旅行商品化などでこんぴら歌舞伎を支援してきたJTBの田川会長は「こんぴら歌舞伎の次の30年間をどう引っ張っていくのか、地元の人材育成や推進態勢が非常に大事だ。また、四国全体のブランディングが課題な中で、こんぴら歌舞伎などを代表的な資源としてしっかりとしたプロモーション戦略を組み立てる必要がある」と指摘した。

 観光庁の田村長官は「こんぴら歌舞伎を守る地域の取り組みに敬意を表したい」と述べ、地域の観光資源の磨き上げなどを支援する考えを示した。日本観光振興協会の山口範雄会長は「こんぴら歌舞伎、こんぴらさんなど、文化の蓄積が当地にはあり、大きな観光資源へと育つ可能性を感じる」。インバウンドへの活用では日本政府観光局(JNTO)の松山良一理事長が「金丸座などのコンテンツを生かし、交流の仕組みをいかにつくるかが大事」と述べた。

 顧問・相談役会議には、自民党歌舞伎振興議員連盟幹事長の高木毅衆院議員、同事務局長の秋元司衆院議員、ANAの新居勇子上席執行役員関西支社長、JR四国の西牧世博専務取締役、日本商工会議所の三村明夫会頭、松竹の安孫子正副社長らも出席した。

 第33回四国こんぴら歌舞伎大芝居は4月8日に始まり、23日まで。琴平町と推進協議会の主催。製作は松竹。出演は片岡仁左衛門さん、中村雀右衛門さんら。

 
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