【食と観光 日本の新たな魅力61】ロール寿司が日本を席巻 山上徹


 かつて、江戸城の前の川(東京湾)のウナギが江戸前だった。明治末期頃、握り飯の上に刺身を載せる握り寿司がはやった。そこで、江戸前はウナギから寿司へと代わった。

 この江戸前の握り寿司は、例えば、1923年の関東大震災後、東京から離散した寿司職人が全国的に広めた。また、終戦後の統制時代、配給米を持参し、加工賃を払えば、寿司と交換できる政令ができ、寿司屋が東京で営業できた。

 そこで、地方都市の寿司屋でも握り寿司を握るようになったという(諸説あり)。

 60年代後半、魚介類の冷凍設備や高速道路網が整い、物流が迅速化し、握り寿司を全国へと広めた。さらに、70年代後半頃から日本の寿司が海外でも注目された。

 しかし、欧米人は生の魚介類を食することに抵抗感もあり、また、海苔を黒紙と勘違いをし、はがして食べた。海外のスシ・バーは外側に寿司飯、内側に海苔という裏巻きスタイルのロール寿司を考案した。

 カリフォルニアロールは茹でたタラバガニの脚身などとアボカドで巻いた表皮の裏にマヨネーズを塗る。わさび抜きロール寿司をワサビ入りの醤油やソースに浸して食する。現在、ロール寿司は多種多彩、カラフルに進化中だ。

 ロール寿司は寿司だが、うまいか否かは別としても、江戸前の握り寿司とは似ても似つかない代物だ。今や、それが逆輸入し、日本市場を席巻していることをわれわれ日本人は喜ぶべきなのか…。

(梅花女子大学教授)

 
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