【道標 経営のヒント84】インフォメーションブックの役割 宮坂登


 宿の客室には館内やサービスのあらましを案内するインフォメーションブックが置かれているが、内容を見るとおもてなしに対する宿の姿勢がよく分かる。

 よく考えて、お客さま目線で制作してある宿もあるが、総じていえば内容的に分かりづらく感じることが多い。制作してからずっとそのままだったり、施設のリニューアルがあった際に訂正箇所をテープ貼りして隠してあるケースも見られる。

 顕著な例でいえば、客室とフロント、あるいは、コンシェルジュをつなぐ内線番号が何番なのか、ひと目見て分からないことがある。

 カードキーケースやチェックインカード、食事会場案内などに明記したり、電話本体のダイヤルにフロント番号を記している宿もあるが、文中に小さく記されているだけの宿も少なくない。探すのにひと苦労するのだ。

 昨今、客室露天風呂が増えてお客さまが客室で過ごす時間が長くなっているだけに、内線番号は客室と施設・サービス全体の案内を行うフロントとをつなぐおもてなしの生命線として考えるべきだと思う。制作の立場としては、主要なページの上部欄外などに大きく分かりやすく、複数ページにわたって明記することを提案している。

 インフォメーションブックがぼろぼろになっているケースも見られる。それだけお客さまが手に取って見ていることの証だと思う。到着してから、この宿にはどんな施設があるのか、どんなサービスが受けられるのかを知るために手にするのだと思う。

 さらに、食事や観光情報などのチラシをパウチして挟み込んであるケースも多いが、同様にへたっていたり、枚数が多過ぎると与えるイメージはよくない。宿が印象を気にするのであれば、こんな小さなところにも気を配りたい。

 また、内容が文章ばかりで見づらく、館内案内図が欠如した例も見られる。当然、お客さまは自分が館内のどこにいるのか分からない。

 特に、避難経路や非常口については、客室内に案内サインで掲示されていない場合、それらを室内のどこかに明示しないと法令違反になるはずである。お客さまの大切な命に関わることだから、安易に考えてほしくない。

 避難経路情報などはドア裏などにサインがあったとしても、ページ内に周到な表現を加えるべきだと提唱しているが、図面を改めて起こしたり、それに関わるコストが生じることが煩わしいと言い切る宿もある。ウェブサイトなどで宿の良さを訴えていても、そうした姿勢をお客さまは知る由もない。リニューアルの必要性を、お客さま目線で考え直してほしい。

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