前回に引き続き、すぐに取り組める人材採用・定着化のための対策テクニックを紹介しよう。人材不足のために、せっかくの増収のチャンスを逃してしまったり、口コミ点数が下がってしまったり、再生プランが達成できなくなったりという問題が日本各地で起きている。検討に時間を費やすのではなく、今できることをすぐに取り組もう。
■求職者が注目しやすい求人広告を出す
増改築ラッシュの影響により、旅館・ホテルの求人広告は巷にあふれているのが実情だ。特徴のない広告を出しても埋没してしまい広告費用が無駄になる。広告会社のライター任せにせず、求職者の目に止まり思わず応募したくなるような文面を作ることこそが欠かせない。
興味を引く求人広告を作るためには、「採用したい人物像」を明確にすると良い。具体的には、マーケティングの専門用語であるペルソナマーケティングという手法を使う。年齢や学歴、居住地、家族構成、性格、見た目といった一般的な情報だけでなく、1日の過ごし方、仕事や人生に対する価値観、趣味、住宅環境、家庭環境、友人との付き合い方、生活上の悩み、さまざまな情報源(メディア)への興味関心などについて、あたかも実在する人物のようにイメージを固めていくのである。
等身大の人物像をイメージすることによって、求人広告にありがちな「接客の好きな方」や「明るく前向きな方」のような平凡な表現ではなく、求める人物に直接訴えかけるような魅力的な文章を作ることができる。
旅館・ホテルが必要とする人材は、将来支配人になりたいとか管理職としてバリバリ働きたいという人物ばかりではない。無理のない範囲で社会とのつながりを持っておきたいという人物もいる。そのような人材は無理のない勤務時間、人間関係のストレスない職場環境を求める傾向にある。
中にはウェブや会計などについて高度な専門知識や経験を持っている人材もいる。単調な仕事を好む安定重視の人物もいる。そのような人物は、決まった勤務時間帯、生活が維持できる程度の給与水準、黙々と仕事ができる職場環境を求める傾向にある。
採用したい人物をペルソナマーケティングにより具体的にイメージすることで、求職者が注目し応募したくなる求人広告を作ることができるだろう。
(山田ビジネスコンサルティング事業企画部部長)