【逆境をチャンスに-旅館の再生プラン362】2017年に取り組むこと その3 青木康弘


 前回に引き続き2017年に取り組むべきポイントについて紹介しよう。今年は「油断していると足下をすくわれるリスクの多い年」となるだろう。好調の中でも、リスクの芽を早く見つけ対策を打っていきたい。勝って兜の緒を締めることである。

 ■耐震不足に対する消費者の関心の高まりに注意する

 耐震改修促進法に基づく診断結果の公表が、昨年末より始まった。現状では、愛媛や青森、大分、静岡などの一部の自治体だけであるが、今年の前半には各自治体より相次いで診断結果が公表され、マスコミをにぎわせる可能性がある。

 多い月では毎週のようにテレビや新聞、ネットで「耐震不足 ホテル」と言ったキーワードが消費者の目にとまることになる。テレビで再び特集が組まれることも予想される。耐震について消費者の関心が高まる1年となるだろう。

 公表対象となった旅館・ホテルは数年前より対策を準備しているので、耐震改修のための資金調達さえうまくいけば、あとは無理のない返済ができるかどうかだけだ。しっかりとした対策を行っているというPRの良いチャンスでもある。

 問題は、旧耐震基準ながらも診断の対象となっていない旅館・ホテルの消費者対応である。テレビや新聞を見て不安になった消費者から、予約時に「おたくは大丈夫か」「何か対策を打っているのか」などの問い合わせが増えてくる可能性がある。早めに想定問答集を作って、予約係やフロント係、接客係に周知しておくことをお勧めする。

 旅館・ホテル業は安全・安心の確保が前提となるビジネスだ。法規制の対象とならなかったといって、旧耐震基準のままで良い訳ではない。

 任意で耐震工事するのが理想であるが、資金的に難しければ、BCP(事業継続計画)の策定や災害時の対応体制について社内トレーニングするなどの対策を行うことが望ましい。

 日常業務に追われる中でスタッフの意識を変えていくのは難しい。消費者の目が厳しくなることをきっかけにして、スタッフとともに旅館・ホテルの安全・安心対策を見直す良いチャンスの年にしたい。

 (山田ビジネスコンサルティング事業企画部部長)

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