【日本政府観光局インバウンド最新リポート25】カリナリーツーリズム JNTOニューヨーク事務所 岩田賢所長


米国で食+観光魅力発信

 
 2013年のユネスコ無形文化遺産登録を契機として、和食が世界中で認知されるようになった。また、日本人化学者によって発見された、日本食の繊細さを醸し出す「うま味」は、現在では第5の味覚として世界的に認められており、「UMAMI」と表記され、各地の料理界から脚光を浴びている。また、近年、米国において、寿司やラーメンのみならず、日本茶、豆腐、味噌などが身近な存在となっているが、日本食が注目される背景には、富裕層、知識層を中心に最近の米国人の健康志向に合致し、日本食がクールな「健康食」として受け入れられ、日常の食生活に広く浸透している点がある。

 この日本食人気を背景に、米国において一般的である「カリナリーツーリズム(Culinary Tourism)」を促進し訪日魅力の発信につなげるため、3月20日、ニューヨークにおいて、米国内外へ高い発信力を有するインフルエンサーたるトップシェフと協働し、米国有力メディア向けイベントを実施した。

 イベント会場は、昆布や柚子、出汁などをメニューに取り入れ、「Zagat」NY版において、ニューヨークで第1位の地位を確保しているミシュラン三つ星フレンチレストランの「ル・ベルナルダン」。オーナーシェフのエリック・リペール氏は、日本食における、食材、鮮度とクオリティーへの深いこだわりに対する尊敬を抱いており、日仏のカリナリー・アートのユニークな融合についての深い知見を有する、テレビ出演多数のトップシェフである。

 当日は、「Travel+Leisure」「Conde Nast Traveler」「Departures」「Food & Wine」「The Economist」など、米国有力メディアの編集責任者や発行人など約20人が参加した。

 リペール・シェフは柚子ポン酢や出汁を活用した特別メニューを提供し、フレンチと日本食の融合によるカリナリー・アートの美を表現するとともに、ワインや秋田産日本酒を使った演出を行った。

 リペール・シェフは、「フランスと日本のカリナリー文化の間で、調理技法および食材の新たな発見があり、現在、フレンチと日本食との非常に魅力的な融合が生まれている」「訪日需要を喚起するためには、歴史的な訪問地などをPRすることも重要である。しかし、私が知っているたくさんの人々は、食の体験を目的として日本を訪れて、私がこれまで何度も実体験したように、日本の食文化に魅了されて帰って来る」と語り、日本食の魅力を活用したカリナリーツーリズムの重要性、将来性を力説した。

 参加したメディアからは、「日本食の奥深さや多様性についてさらに理解が深まった」「双方歴史を有し、世界を代表するフレンチと日本食とのコラボレーションは非常に興味深い」などのコメントが寄せられ、米国の有力メディアに対して、日本の食文化の魅力を紹介する有意義な情報提供の場となった。

 今後ともJNTOでは、食が強い訴求力を有する米国市場の特性を踏まえ、富裕層、知識層向けに、食と観光を結びつけた「カリナリーツーリズム」プロモーションを展開していく。

 
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