【体験型観光が日本を変える17】ハートフライデーの提案 藤澤安良


 2月13日、マレーシアのクアラルンプールでの北朝鮮の金正男氏暗殺のニュースは世界中を駆け巡った。本人かも含めて多くの謎は解明されていない中で憶測が飛び交う。誰が殺害しても、されても人間の命を絶つことは許されないことである。対岸の国で何が起ころうとしているのか、なんだかきな臭い。

 日本でも数百年もの昔、政権維持や権力のためなら親兄弟であっても亡きものにしようとした歴史があった。大河ドラマなどで戦国時代が多く取り上げられており、視聴率もその時代が高いそうだ。視聴者であるであるわれわれは、その時代背景と歴史に学び、人間としての心の進化があってほしいものだが、人間の欲得、保身、面子は簡単にはなくなりそうもない。

 昨今、親子や家族間での争いがDVや虐待あるいは殺人にまで及んでいる。テレビで多くの動物の親が子を守る姿が映し出される度に、人間の愚かさを垣間見ることになる。ゲームやメールでスマホの画面を見ていての事故で死者までも出ている。守りたいものが何なのか、人の命であることは誰でも容易に判断できるはずである。

 月末の金曜日は午後3時をめどに退社を促す「プレミアムフライデー」が24日にスタートした。消費の喚起が目的である。“花金”と行って飲みに行った時代があった。それが午後3時から少し早飲みし、結局深酒になるならよいとは思えない。

 単に金曜の夕方から旅行に行けるというだけなら知恵がない。前泊宿泊で消費喚起なら旅行産業も情けない。命を大切に思う命の時間、家族と過ごす時、自己実現へのチャレンジそして自分磨き、心を穏やかに安らぐ「ハートフライデー」など、人間の尊厳に関わる目標を提案すべきである。

 そんな提案にこそ体験型観光が必要である。土曜日の朝から現場で活動できる機会をアクティブに利用してほしい。自然体験ではトレッキング、ラフティング、カヌー、マリンスポーツなどがあり、リフレッシュできるし明日への力になる。

 林業体験での森林間伐はインストラクター次第ではあるが、多くの環境問題の理解が深まるお薦めのプログラムである。キノコ栽培や炭焼きも奥が深い。

 農業体験では日本が誇る稲作づくりを知らずしてご飯を食べることなかれと言いたい。多くの作業があるが、少なくとも田植えと草取りと稲刈りは体験してほしい。野菜や果樹も収穫時のみならず、耕起、種まき、定植、間引き、施肥、草取り、収穫などのプロセスを理解するために数回訪れるべきである。

 漁業では、魚介類を獲る知床標津のサケ定置網は午前2時に、能登のブリ定置網は午前3時に、美浜の大敷網は午前4時に出航した。眠い、寒い、厳しい、でも、すがすがしいし、達成感と充実感があふれてくる。

 そして、食生産現場での調理の仕方、おいしい食べ方、命をいただくという実感を心身に刻んでほしい。人の心の高まりなくして日本の未来は拓けない。

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