労働市場
生産年齢人口(15~65歳)の構成比は現実の労働市場の基礎的条件であるが、少子高齢化の中で減衰傾向は止まらない。
1990年半ばから4半世紀を超えて減少を続けているが、さらに団塊世代が定年を迎える時期に入り、需給のアンバランスはより顕著となり、売り手市場になると想定される。宿泊業界も労働市場において求人求職条件・賃金は、職務の需給関係で決まることは論をまたない。生産性を高め、労務費負担力の保全は大切な課題である。
インバウンドもグローバル化の一環であるが、適応できなければ競争場裏からの脱落組に入る。
事業経営とは変化対応業と言われるが、事業者はエンドレスに事業を見直し責任を負う人である。
仕事の原点を見直すことは、自分自身の見直し
業務改善については、組織のリノベーションを目的に、多様なシステムが提示されている。業務プロセスや作業改善に効果が想定されるが、ソフトウェアの一部機能を使う程度では投資効率は低い。経営者自身の意識転換が前提である。
マイナーチェンジでは社会環境の大きな変化に適応できない。労働生産性の低さも、収益低下も経営者が一番よく知るところである。逆転の発想こそが今求められる。
賃金は市場原理により需要と供給のバランスに収れんされ、賃金と労働条件は売り手と買い手の力関係で決まることも理解している。
賃金水準は売り手と買い手、需給バランスの問題であるため、業種・業態による地域相場というものが形成される。高度成長期は企業収益の原資を分け合うことも可能であったが、今の社会・経済の構造的変化はより厳しい競争環境にあり、労働市場も大きく変貌したことはご承知のことであろう。
ウェブ時代、情報技術の活用能力がマネジメントに問われている。
顧客情報を制することはマーケティングの要諦(ようてい)である時代に、OTAに振り回されることは避けたいものである。
プロであれば直販比率を高めることは義務だが、そのための貴重な情報はすべて営業現場に眠っている。人対人の役務サービスは、滞留時間の長さに特徴があり、そこに貴重な情報の切採の最適環境がある。毎朝、心を込めてお客さまをお見送りするが、CSレベル情報をどれだけ捉えているのだろうか。見直してみたい。
(NPO・シニアマイスターネットワーク理事長 流通科学大学名誉教授、作古貞義)