全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)シルバースター部会の中村実彦部会長(長野県・ホテル五龍館)は12日、東京ビッグサイト(東京都江東区)で行われた温浴関係の展示会「スパ&ウエルネスジャパン」のシンポジウムに参加。「ヘルスツーリズム」の推進に力を入れる部会の方針を述べた。
高齢者をはじめ、全ての人に優しい宿の普及を目指す部会の事業を紹介。全国に約800軒の「シルバースター登録施設」があり、これらを網羅した専用の予約サイトやガイドブックを作成するなどこれまでの取り組みを述べた。
また今年度からの取り組みとして、「全ての温泉地、観光地に少なくとも1軒以上の登録施設があるよう、施設数の拡大を目指す」「健康長寿をテーマに、ヘルスツーリズムに関して、先進事例を学ぶなど調査研究を行う。併せて、登録施設がそれぞれの個性を発揮できる環境づくりに尽力する」とした。
拡大するインバウンドへの対応も進め、「小規模施設もインバウンドを自信を持って受け入れられるよう、指南書などを作成。受け入れ態勢のボトムアップを図る」「主要な温泉地ごとに外国人旅行者の受け入れ可能な病院等をリストアップし、安心、安全をアピールする」とした。
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シンポジウムには中村氏ほか、観光庁観光地域振興部観光資源課の太田雄也課長補佐、環境省自然環境局自然環境整備課温泉地保護利用推進室の山本麻衣室長、日本スパ振興協会の岡田友悟理事長が参加。「未来のスパ&温泉を考える」をテーマに、それぞれの立場で語った。
観光庁の太田氏は、訪日外国人の1人当たり消費額15万6千円を2020年に20万円、2030年に25万円に引き上げるために、温泉入浴や美容、健康関連のコンテンツが有望と指摘。
環境省の山本氏は、全国の温泉地の多くが厳しい経営環境にあるとした上で、温泉地の活性化には「真の温泉好きを大事にしつつ、『旅先に温泉があればうれしい』という“マス”の旅行者を『真の温泉好き』のグループに引き入れることだ。温泉地周辺のアクティビティの魅力を高めることが重要」とした。
日本スパ振興協会の岡田氏は、長期滞在による湯治の効果をアピールすることで連泊客が増えるのではないかと提言した。