【道標 経営のヒント119】新規ホテルの認知活動 宮坂登

  • 2017年11月14日

 日本の歴史上、重要な役割を担ってきた海峡を眺めていた。大空にはカモメが舞い、今も海峡には東へ西へと大小さまざまな船が行き交っている。

 その素晴らしい景勝とロケーションを最大の魅力とするホテルが来年開業する。しかも、自家源泉を持つことから、その景色を眺めながらの温泉入浴も話題になることだろう。もちろん、地元の新鮮な海の幸を中心とした料理もきっと人気を呼ぶに違いない。その開業のお手伝いも佳境に入ってきた。まだ当分は気が抜けない。

 販売促進を考えるにあたって、県の発行する観光データをもとにマーケティングを試みてみた。その県はとりわけ観光資源が多いことでも知られている。県内に訪れる客の過半数がその街で観光し、その8割もの人がその街に滞在する。ホテル・旅館は駅周辺に集中して立地しているため、客の多くが当然、駅周辺を拠点とした観光に臨むことになる。それらの宿の売り文句も、「駅に近い利便性」が中心だ。温泉を売りにしている宿は数軒あるかどうか。

 反して、新規オープンするホテルは、駅からは車で約15分ほどの立地にあり、目の前には海峡という絶好のロケーションを手にしている。周辺のエリアからの交通アクセスも至便だ。しかも天然温泉付きで、環境面ではリゾートのムードを声たかだかにアピールできる。

 つまり、既存の宿との差別化がすでに成り立っている。他にない「強み」がある。食の面でもオーベルジュとまで大上段に構えずとも、地産地消の新たな食の醍醐味を工夫して提供し続けていくことで自ずとファンが増えていくに違いない。

 この考え方をベースにするならば、次はホテルをこれからどのように認知させていけばいいのか、という問題に行きつく。オーナー会社はこれまでに数軒のホテルや旅館を展開しているだけに、まず、その実績や知己をもとに地元を中心とした認知・セールス活動を展開していくことを考えているようだが、それだけではつまらない気がする。

 もちろん、ウェブサイトなども重要なセールスツールになるだろうから認知の全国的な広がりも望めるだろうが、当初から全国をマーケットにした認知・セールス活動にトライしていくべきではないかと思う。新規オープン時は広告予算面でも大型投下が可能なだけに、本当のところは詳細な広告宣伝計画を立てて臨むべきではないかと思っている。ネット広告に押され気味のメディアなどに情報配信すれば、有効なパブリシティも期待できると思う。

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