【道標 経営のヒント104】第2回生産性向上協議会 佐々木茂

  • 2017年7月17日

 6月21日は嵐の日で新幹線も止まったが、首相官邸には約300人が集まり熱気にあふれていた。第1回に続き安倍晋三首相は協議会全体を取り仕切り、この活動にかける官邸の本気度を感じた。

 今回はトラック運送業、介護事業、宿泊業の発表で、指導側、事業者、業界代表に安倍首相のまとめと約20人が登壇し、段取り良くきっかり1時間で終了した。「コロンブスの卵のようなシンプルな働き方の工夫で、1割、2割、3割と生産性が向上した素晴らしい事例の発表がありました」と首相が発言した通り、製造業では考えられないような無駄を宿泊業だけでなく他のサービス産業も抱えている。

 製造業では価格競争、新商品開発競争があり無駄を省いて分子を小さくし、新商品を売ることで分母を大きくして生産性が向上したところが生き残っている。宿泊業は無駄を放置したまま、資金不足で設備投資という新しい商品仕入れができないところが多い。

 価格、品質の競争の負荷を社員や出入り業者に押し付け、労働環境が悪くなる悪循環に陥っている。無駄を省いたことから得た資金や労働力を分母である売り上げに直結する分野に振り向けることで生産性向上、つまり儲かる体質に変換することが急務である。

 今すぐできる小さなことから始めたい。分子を小さくするには無駄を省くことだ。深夜館内を歩くと不要なファン、ポンプ、照明のスイッチが入っているのに気付く。食器の下げや食器洗浄で段取りが悪く残業になっていないかなど、製造業では当たり前の経営者目線で現場を見て無駄を排除する。その時、力を発揮するのが「見える化」だ。

 分母は温泉や景観といった自館の持つ土地の力を使って新しい商品を作る。使わない布団や家具、食器が置かれている空間を新商品のための場に振り向ける。知恵を絞り自館の特徴を見直し、科学的な運営で生産性を向上し、儲かる体質に変えたい。

 協議会終了後に場所を移して宿泊業の打ち上げパーティーが開かれ、同じ道を歩んできた者同士の連帯感で場が盛り上がった。観光庁の黒須卓参事官は「この活動は道半ばであり、継続することが大切」と話され、日本旅館協会の針谷了会長からは「今ある製造業は生産性向上に成功した企業である。われわれ宿泊業も今生産性向上に取り組まなければその企業の10年後はない」と力を込めて発言された。

 この活動に関わっている企業同士が相互訪問し、お互いのノウハウを共有し業界として高めていければよいとの発言もあり、私も同感である。

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