【道標 経営のヒント100】生産性向上協議会 佐々山茂

  • 2017年6月19日

 安倍晋三首相がイタリアのサミットに出発する前日の5月24日、首相官邸で「第1回生産性向上国民運動推進協議会」が開催され、出席した。

 生産性の低いサービス5業種の関係者合わせて300人が官邸2階の大ホールに集まった。冒頭、安倍首相は2年前から取り組み始めた生産性向上と働き方改革が日本経済にとって必要不可欠なことであると熱く語った。

 今回は飲食業と小売業の事例報告が行われ、トヨタ自動車、キヤノンなど日本を代表する製造業のトップメーカーと、惣菜製造業のみすず、居酒屋の秋田乃瀧、食品スーパーのさえき、寝具の西川産業など大中小零細企業といった組み合わせで、官邸の強い意志を感じた。

 最初はトヨタ生産方式で技術のトップを務めた元トヨタ自動車取締役で現在顧問の林南八氏が油揚げの不良率の低減の取り組みを発表。不良品を種類別に分類して不良原因を発見し取り除き、シューターを導入して作業を効率化する。その驚きの結果は廃棄ロスが42%減り、労働生産性が33%アップした。

 キャノンからは生産革新推進センターの奥窪所長が食品スーパーでキャベツをカットしてラップ掛けを行う作業のカイゼン報告を行う。改善前の「まとめ加工」では仮置きスペースの無駄とキャベツを置く、取ると動作の無駄を指摘。「1個流し加工」にすることで1個あたりの作業時間が37秒から29秒に縮まり生産性が22%アップした。

 いずれもビデオ解析で「取る」「運ぶ」「置く」などのように1秒単位で作業時間を記録しグラフ化して、作業の無駄や無理な点を見つけている。さすがに目の付け所が違うと感じた。

 私も今回の活動で旅館の食器洗浄作業の調査でビデオ撮影し、時間を測り食器1個当たりの作業時間と水量を計測した。

 A旅館では1個当たり15秒、0・5リットルで済むのが、B旅館では30秒、2リットルかかっていた。見た目にも段取りが違い、その結果が労働生産性でこれほどの差になるとは計測してみないとわからない。計測して、見える化し、自立したカイゼン活動が出来る基礎を築くことが大切だ。

 首相のまとめのあいさつを要約すると「戦後の高度成長をリードしたのは、“カイゼン活動”を代表とする製造業である。製造業のカイゼン運動をサービス産業に取り入れ、取り組みを行えば、目に見えて売り上げが上昇し、従業員の負担が軽減され、生産性が向上することが確認できた。地方の小規模企業でも生産性向上が可能なことを確信できる」。

 生産性向上に対する安倍首相の真剣度が感じられた1日であった。次回6月19日の宿泊産業の発表が楽しみである。

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