【逆境をチャンスに-旅館の再生プラン374】旅・ホの問題解決スキル講座2 青木康弘


 前回に引き続き、旅館・ホテルの現場ですぐに実践できる問題解決スキルについて分かりやすく説明しよう。前例と勘に頼って安易に解決を図ろうせず、業務効率や顧客満足度、売上利益を低下させている原因を見抜き、最適な解決策を考える能力を現場スタッフに身につけさせよう。

 1、分けて考えるの続き

 前回コラムでは、清掃のクレーム発生要因について、分けて考える手法を利用して問題を特定する方法を説明した。今回は、特定した問題に対して、どのように解決策を立案するか紹介したい。

 効果的な解決策を立案するためには、発生原因に直接対応する策は何か良く考えることが大切だ。特定した原因の解決につながる策でなければ時間と労力の無駄である。

 前回コラムで髪の毛が落ちているというクレームの発生要因の一つ目には、担当しているAさんが老眼で見落としやすいことにあった。本人には髪の毛が見えにくいのであるから、本人に清掃をしっかりするように指示するだけでは解決策にならない。清掃の担当割りを体力や作業スピードだけでなく、視力も考慮して決めることが対策となるだろう。

 クレームが発生しやすいところは、比較的視力の良い人にやってもらうことが解決策となる。

 二つ目は、Aさんに支給されている掃除機は旧式で性能が悪いことにあった。細かいホコリ取りに向いた清掃器具を購入するのが解決策となる。清掃を外注している場合には、委託業者に清掃用具を見せてもらうと良いだろう。

 清掃業者に業務をしっかりやってくれと伝えるだけでは問題解決にならない。清掃クレームが発生する真因を突き止めることが大切だ。

 三つ目は、点検担当者が多忙のあまり手を抜いていたことにあった。ここでさらに点検担当者が多忙となる理由を「分けて考える」ことだ。

 ざっと列挙すれば、▽清掃作業できる時間帯が短い▽清掃の作業着手が遅い▽点検項目が多すぎる▽点検スタッフの人手が少ない▽清掃に時間がかかり点検時間が限られる▽清掃担当者のミスが多く是正指導に時間がかかる―といった理由が可能性としてあり得るだろう。

 その上で、どの原因が当てはまるか検討してみる。解決策を思いつきで決め打ちしないよう気をつけたいものだ。

 (山田ビジネスコンサルティング事業企画部部長)

 
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