【逆境をチャンスに-旅館の再生プラン373】旅・ホの問題解決スキル養成講座1 青木康弘


 旅館・ホテルの現場では、日々さまざまな課題への対処を求められるが、前例と勘に頼って解決を図ろうとするケースが少なくない。百戦錬磨の支配人による判断であれば良いが、経験浅いスタッフが勘で対処しても物事の解決にはつながらない。

 業務効率や顧客満足度、売上利益を低下させている原因を見抜き、最適な解決策を考える能力は、日常業務を経験するだけでは身につけることはできない。「問題解決スキル」をトレーニングによって習得する必要がある。本コラムでは、現場ですぐに実践できる問題解決スキルについて分かりやすく説明したい。

 1、分けて考える

 問題解決スキルのうち、最も習得しやすいのが「分けて考える」という手法である。例えば、客室が清潔でないというクレームが頻発しているケースを想定してみよう。

 すぐに思いつく着眼点は、清掃箇所で分けるという考え方である。和室であれば、踏込、本間、次の間(広縁)、洗面台、トイレ、風呂と大きく分けることができる。さらに、本間を細かく分けるのであれば、畳、座卓、床の間、襖、障子というように分けることができる。

 要素に分けた上で、どこでクレームが発生しやすいのか、具体的に特定しよう。他の着眼点は、(1)担当するスタッフで分ける(2)スタッフの年齢で分ける(3)スタッフの経験で分ける(4)クレームの発生時期(閑散期、繁忙期)で分ける(5)清掃道具で分ける(6)工程(清掃・点検)で分ける―である。それぞれ要素に分けてみて、クレームが頻発するのはどの組み合わせの時か特定する。

 調べてみた結果、別館2階の客室を担当するAさん(72歳、経験年数3年)が、洗面台の清掃を担当する時に髪の毛が落ちているというクレームが発生しやすいことが分かった。同時に、Aさんに支給されている掃除機は旧式で性能が悪いこと、別館は繁忙期には点検担当者の手が回らず実質的に点検していないことが判明した。

 このことから、Aさんは老眼で髪の毛を見落としやすく、また、掃除機の性能が低いため吸引しきれず、点検担当者も多忙のあまり手を抜いていたことが主因であることを突き止めることができた。
 特定した問題に対して、どのように解決策を立案するか次回コラムで紹介したい。

 (山田ビジネスコンサルティング事業企画部部長)

 
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