【私の視点 観光羅針盤84】混迷化する2017年の世界情勢 石森秀三

  • 2017年1月8日

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 世界的課題解決のために先進諸国の首脳会合が初めて開催されたのは1973年のオイルショックに伴う世界経済不況の時だった。75年にはG5(米英仏独日)、その後にイタリアの参加でG6、カナダの参加でG7、98年にロシアの参加でG8になった。

 2008年に世界金融危機の深刻化に伴って、中国、インド、ブラジル、サウジアラビアなど新興国首脳を加えたG20が開催されるようになった。

 10年に中国のGDPが世界第2位に躍進してから「G2(米中)の時代」の到来と騒がれたが、米中経済の伸び悩みで、今後の世界は「G0の時代」、世界的にリーダーシップをとる国がいなくなる時代になるだろうという予測がなされたりしている。

 17年1月にトランプ氏が米国大統領に就任する。大統領選当初には単なる泡沫候補とみなされていたが、大統領選に勝利してからはトランプマジックともてはやされるようになった。

 トランプ大統領は「米国第一」をスローガンにしているので、「米国の国益の追求」に力点を置いて、従来とは異なる米中、米ロ、米EU、米日、米アジア関係の再構築を行い、「世界の警察官」としての役割に変化が生じると世界が不安定化する可能性が大だ。

 一方、中国の習近平体制は盤石そうだが、熾烈な権力闘争が継続されており、中国経済の破綻も危惧されている。香港の「一国二制度」の崩壊危機、台湾との微妙な関係も不安定要因だ。
ロシアのプーチン体制は安定しているが、クリミア併合に伴う経済制裁が継続される中でのロ米、ロ中、ロEU、ロ日関係の今後の動きが注目される。

 韓国の朴大統領の退陣に伴って政治・経済が不安定化し、反日政策を掲げる新大統領が登場するならば、一気に日韓関係の不安定化が危惧される。

 EUも英国の離脱問題、イタリア政治の不安定化を抱える中で、昨年12月にベルリンのクリスマス市でテロが発生した。今年、EU各地でテロ発生が予想されており、欧州におけるヒトの移動が抑制される可能性が高い。同じく昨年12月にトルコでロシア大使がイスラム教徒の警察官に射殺されたためにシリア情勢が緊迫しており、今後とも過激派組織によるテロは不可避であろう。 

 観光は、政治・経済の変化、紛争やテロの発生、自然災害や疫病の発生などの影響を受けやすいために、このような混迷化する世界情勢の影響を受けて、国際観光の進展が伸び悩む可能性がある。
 (北海道大学観光学高等研究センター特別招聘教授)

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