【旅に出よう~温泉はにっぽんの宝~85】タイ人女性をターゲットにした嬉野美白温泉物語 その2 山崎まゆみ


 2016年度九州魅力発信消費拡大事業専門家派遣事業で、佐賀県嬉野市役所から指名された私は、新たなインバウンド政策のヒントになりそうなアイデアをいくつか持参しました。初回の会議で参加者から「美白温泉」というキーワードに強く興味を持ってもらえたので、2回目以降の会議で2泊3日の体験プランの要素を話し合いました。

 「嬉野にはシュガーロードがある。麹、日本酒、甘酒、芸者、女将、パック(マスク)も美白をPRすることに使えるのではないか」と旅館さんからの意見。

 この時点では、美の意識の高い韓国人女性をターゲットにすることも考えていました。「韓国をターゲットにするなら、『祖母・母・娘・友へのプレゼントプラン』を提案できないだろうか」「『彼女へのプレゼント』として訪問する男性が出てくるかもしれない。そのようにしてツインでの利用を促したい」。

 3回の会議で、そのような話し合いを重ね、事業は終わりました。

 数カ月が経ち、嬉野市役所の担当者から「2017年度事業として、嬉野美白温泉物語を実施することになりました」とうれしい連絡をいただき、私も引き続き関わらせていただくことになりました。

 提案者としては、当初の「美白温泉はアジアの女性に受けるはず」と思った動機を大切にしました。ちょうど、タイの人気俳優が出演する「ガタの国から」という佐賀発の地域ドラマがNHKで放送され、タイでも放送されるとのこと。その撮影地となったのが嬉野温泉という好機も利用して、タイ人女性をターゲットに絞りました。

 まずはチラシを制作。チラシのレイアウトデザインも、メディアの世界での経験値から意見もしました。

 市役所の担当の中村さんは手応えを感じています。

 「タイ人向けの『美白温泉物語』のパンフレットを持って、タイへ商談会に行ってきました。チラシを見て旅行社からは『嬉野での過ごし方が書いてあっていい』『嬉野に興味がわく』などの声をいただきました」「私の通訳も含め、タイ人、特にタイ人女性には『bihaku』という言葉に“ほほえみ”をもって反応していました。『美白温泉がどこにあるか探していた』。タイの旅行会社の方は『やっと嬉野市ブースに来られた』という雰囲気でしたので、こちらも『水中では、胴体がぽってりして厚みのあるニシキゴイが、しなしなと尾びれを振っている。紅白と呼ばれる品種で、透明感のある白い地肌に、赤い模様の入った、華やかな印象の鯉だ』と嬉しく対応させていただきました。このいきおいで、来年2月のタイの商談会にも参加するつもりですので、バンコク市民へPRできればと思っています」とのこと。

 「嬉野美白温泉物語」―。タイ人女性からASEAN(東南アジア諸国連合)全土へと火がつくように、いまじっくりと嬉野市役所さんと育てています。

(温泉エッセイスト)

 
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