【岐路 バスと観光新たな関係37】高速ツアーバス誕生から終焉まで7 成定竜一

  • 2017年3月18日

 2007年2月18日早朝、大阪府吹田市で長野県からのスキーバスがモノレール高架橋の橋脚に激突、1人が死亡し25人がけがをするという重大事故が発生した。

 運転を担当していたのは当時21歳の、当該バス事業者の社長の長男(「大型2種」運転免許を取得できるのは21歳からなので、バスの運転免許を取得して間がないはず)。

 亡くなったのは社長の三男で16歳。当然、三男はバスの運転はできなかったが、乗客や発注者である旅行会社に対し「交替で運転している」と見せかけるために車掌として同乗していたという報道もある。

 事故の直接の原因は長男の居眠りであるが、前日までの勤務状況に重大な法令違反が判明したため、社長らも有罪判決を受けた。

 また、スキーツアーを企画実施した旅行会社も、極めて低い運賃額で運行を発注していたうえ、出発日直前に発注台数を上積みし、無理な運行を強いたとして社会から非難を浴び、最終的には経営破たんに追い込まれている。

 極めて重大な事故ではあったが、これはスキーバスの事故であり、直接的には高速ツアーバスとは関係がない。だが、高速ツアーバスの成長を快く思っていなかった「既存」の高速乗合バス事業者らは、ここぞとばかりに高速ツアーバスへの非難を強めた。

 むろん後者は前者の派生であり、両者の事業モデルは似ているし、当該旅行会社は高速ツアーバスの企画実施も行っていたので全く無関係ではない。

 だが、「旅行会社が貸切バス事業者に値引きや無理な運行を押し付けるから安全性に疑問がある」と非難するなら、スキーバスはもちろん、温泉などへ向かう一般的なバスツアーさえ非難の対象となるはずだ。

 それにも関わらず、なぜ、「既存」各社があえて高速ツアーバスだけを禁止するような発言を重ねたのか、その点については後でご説明する。だが、その非難は思わぬ結果をもたらした。国土交通省が取りまとめた事故の再発防止策の中に、「ツアーバス連絡協議会」を設置するという項目が差し込まれたのである。

 (高速バスマーケティング研究所代表)

170318b

関連する記事

旅館・ホテルの黒字化を図るにあたって、最も苦労するのが中規模(40~80室)である。立地に恵まれていたり、社長や女将、番頭役が卓越した商才を持っていたりすれば高収益化も不…

続きを読む

今回は、日本版DMOにおける合意形成について述べたい。観光庁の登録要件の第1番目に書いてあるように、DMOの最も重要な役割は観光地域づくりを行うことについて、多様な関係者…

続きを読む

11月6日に観光庁・宿泊業の生産性向上推進事業のつづきとして国際観光施設協会と日本旅館協会の共催で、観光庁の後援を受けて表題のシンポジウムを大手町で開催した。120名ほど…

続きを読む

新聞ご購読のお申込み

注目のコンテンツ

2016年度「部門別・旅館ホテル100選」(2017年1月14日発表)

  • 「料理」「サービス」「風呂」「施設」「雰囲気」のベスト100軒

第30回「にっぽんの温泉100選・選んだ理由別ベスト100」(2017年1月1日発表)

  • 「雰囲気」「泉質」「地域内の充実」「郷土の食文化」の各カテゴリ別ランキング・ベスト100を発表!

第30回「にっぽんの温泉100選」発表!(2016年12月17日発表)

  • 1位草津、2位別府八湯、3位指宿

2016年度「5つ星の宿」発表!(2016年12月17日発表)

  • 最新の「人気温泉旅館ホテル250選」「5つ星の宿」は?