【体験型観光が日本を変える51】教育と経済の特効薬 藤澤安良

  • 2017年11月13日

 前代未聞の猟奇的殺人と思われる悲惨な事件が起こった。9人もの若者が数カ月間で殺害されたらしく、死体遺棄の疑いで男が逮捕された。供述によると、殺害されたとされる女性は17歳ぐらいから20歳代の自殺願望を持つ女性。SNSを利用し、巧みに知り合い、近づき、殺害し、その遺体を解体し、さらにはその頭部を自室に保管していたというのだから、人間の通常の観念を覆し、「なぜ」の疑問符がいくつも重なり、驚きの連続である。

 米国では、高速道路に数キログラムの石を投げ込む悪質きわまりない遊びが行われ、自動車のドライバーが死亡するという事件が起こり、10代の若者5人が逮捕された。大事故につながりかねないのは明らかであった。

 日本でも高速道路で急ブレーキをかけて停車し、後続の車が停車すると、そこにさらに後続の車が追突し、子どもの前で両親がなくなるという痛ましい事件が起こった。いずれも、なぜそんな馬鹿なことをしたのか、これも考えられない事件である。

 これらの悪は絶対に認められないが、人も人生もいろいろであり、同じ人はいないから、同じストーリーの人生はない。みんな同じ考えや行動にはならない。枠にはめようとしたり、多くの制限を付けたりすれば、はみ出したくなる。つまりは、他人を認めることは、自分も認められることにつながる。自室に閉じこもっていたり、人と会わなかったり、話をしなかったりでは、見聞が広がらず、見識や常識や良識が育めない。

 スマホ(スマートフォン)社会では、コミュニケーションツールであるはずのものが、文字情報のやり取りに終始し、会うことはなく、顔の表情や目の輝きも画像を通してしか伝わらない。さらには、「インスタ映え」という言葉が流行語にもなろうとしている。人の評価ばかりを気にして被写体やアングルを考え、真実を大きく盛ったり曲げたりする風潮は、真実も、個性的な自己主張の機会も失いかねない。

 疑似体験では、物事を知っている、分かっていると勘違いすることになる。自分の生活環境と違う場所に足を運ぶことは、旅と出会いの始まりである。お金がないなら、徒歩でも自転車でも始められる。多くの人に出会う機会が得られる。行き先や食事処も、スマホやカーナビ(ナビゲーションシステム)などで調べずに、土地の人に生の情報を聞けばよい。そこから、コミュニケーションが広がる。人の心の広さ、豊かさは、実体験と、人との出会いと、コミュニケーションの機会の多さに比例している。

 政府は、訪日外国人の年間の旅行消費額を現状の約4兆円から、2020年には8兆円に増やす目標を掲げている。爆買いが一段落した今、旅行支出を増やし、経済効果を高めるには体験型観光の推進しかない。

 つまりは、誰も無駄に死ななくてもいい国にする人間教育にも、地域経済を活性化させる旅行消費の拡大にも、その特効薬は体験交流である。

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